出典:労政時報4073(2024年3月8日発行)
従業員数:2732名(連結)
等級体系 | 役割等級制度:経営基幹職(ライン職・専門職)、業務基幹職 |
等級数 | ライン職はL1-5、専門職はS1-3、業務基幹職はJ1-4 |
等級要件 | ライン職はマネジメント適合度、マネジメント適性(外部アセスメント)、次世代管理職育成の3点 |
昇格 | ・直近4回の評価のうち、7段階の6または7に評価が2回の場合、昇格する |
降格 | ・経営基幹職から任用解除になったらJ4になる(降格?) ・直近4回の評価のうち、7段階の1または2に評価が2回の場合、降格する |
役職定年 | 役職勇退制度:2020年に導入し23年に廃止(ジョブ型と合わないから) |
評価期間 | 中間評価を廃止して毎月の職務1on1を実施 ※評価期間に対する記述がない、ただ「年間標準賞与月数」とあるので「年単位」で運用してそう。昇格や昇給、評価も年1回という仮説。だとすると中間評価も廃止して運用は大丈夫か? |
評価者 | |
評価段階 | 7段階(6-7は等級の期待を超えるレベル、3-5は等級相応、1-2は等級の期待に満たないレベル) |
評価記号 | |
評価プロセス | 本人評価→1次評価・2次評価(部門評価:部門内の調整)→3次評価(領域評価:部門間の調整、相対評価する) |
成果評価 | 職務記述書/等級定義に対する成果の大きさや行動を評価する |
行動評価 | |
360評価 | 無し |
報酬レンジ | ・L3とL4でレンジは乖離、他は重複(L4-5は部長レベル) ・業務基幹職はレンジを階差型へ |
給与項目 | 家族手当と住宅手当を廃止 |
給与改定頻度 | |
昇給 | ・ゾーン別昇給 ・経営基幹職はアップダウン幅が大きい |
降給 | |
賞与 | ・賞与原資の決定プロセスやルールを公開し、透明性を高める ・基本給の算定基礎は実額でなく、報酬レンジの中央値を採用 |
報酬移行 | 基本給は毎年3分の1ずつ減額し、2年間で移行(初年度にいきなり3分の1を下げている?) |
調整措置 | |
その他 | 総合職/技術職/一般職の区分を廃止、転勤の有無で処遇差を付けることをやめる(転勤は自己申告で管理) |
所感
これまで年功的な人事運用がされてきたとの記述があり、昨今のジョブ型の流行に乗っかった制度改定。
これまでの年功人事からの変化という点では、大きく舵を切っていることがわかる。
家族手当と住宅手当の廃止は、これぐらいの数千人規模の会社であれば、実施できるという参考事例になる。
また、転勤の有無によって処遇差をつけるというJTCならではの制度を廃止していることは注目に値する。
実際に、転勤が今後どのように運用されるかは注目。
リモートワークに関する記述はなかったので、その辺の関係も知りたい。
昇格や降格を人事評価とダイレクトに反映させているが、3000人規模だとこの形がベストなのか。
仮説では評価期間は1年としたが、中間評価を廃止したことによる弊害は大きくないだろうか。
1on1で月1はフィードバックすることを謳ったとしても現場はそう簡単に変わらない。
1on1にはスキルも文化も必要であり、中間評価という制度をなくして代わりに設置する取り組みとしてはリスクが大きいようにも感じた。
ただ、人事制度運用の負担は確実に減っているわけであり、その観点は現場から歓迎されるだろうし、人事としても表向きには言えない目的や事情が強かったのかもしれない。
まずは制度を変えて、身軽になった上で組織能力や特性を変化させていく狙いも垣間見える。
役職勇退制度というネーミングは、ポジティブなのか、ネガティブなのか、そんなどうでもいいことが気になって仕方がない。