「人、雇わないんですか?」と、よく聞かれます。
「人を雇うつもりはないです」と答えます。
現在、スタッフの方が1名活躍してくれています。
会社を運営するための業務と、コンサルティングの一部を担ってくれています。
入社は2017年なので、かれこれ7-8年といったところです。
いつもサポートいただき、感謝です。
さて、その前提のもと、「人、雇わないんですか?」と聞かれます。
1名雇っているので、「さらに」という意味合いなのかもしれません。
自分が独立した理由の1つは、コンサルティング活動を会社員としてやることに違和感があったからです。
これは個人の価値観の問題です。
会社の経営・人事に対してコンサルティング・アドバイス・コーチする存在でありながら、自分が会社員であることに違和感があったということです。
そのため、独立して小さいながらも会社を自分で持たないと、その土俵にあがれないと考えました。
もちろん自分ひとり(とスタッフ1名)の会社と、百人や千人、一万人の会社ではモノが違うわけですが、あまりそこは気にせず、会社という器をもつことを体験したいという気分の問題です。
経営者と同じリスクを取りたい、といった気持ちも一切ありません。
独立することがリスクだとも思っていないし、会社員でいることがリスクとも思っていません。
それぞれ良いところもあれば、良くないところもあり、イーブンなのかな、という捉え方をしています。
「なぜ、人を雇うのか」について、よく話に挙がるのが「事業拡張」と「リスクヘッジ」。
もっと事業を拡張できるのでは、要するにもっと儲かるのでは、という声。
そんな簡単に儲からないし、個人的にそこには欲がないようです。
正しく言えば、欲が大きくないといったところでしょうか。
あとリスクヘッジについて、何か自分の身にあったときでも会社が回る、要するに自分が働かなくても生活用の資金が入るということかもしれませんが、僕としてはどうもこのロジックに納得がいきませんでした。
社員は会社を辞めるかもしれないし、そこをコントロールすることはできないわけであって。
であれば、ほかの手段で保険というか、リスクヘッジしておくことが必要だと思っています。
要するに、人的資本・金融資本・社会資本のどれかを使って、ヘッジできればいいというわけであって、人的資本よりも、よりコントロール可能性の高い資本で対応した方がいいと考えています。
なぜなら、リスク=不確実性の高いことをヘッジするのに、人的資本では不確実性をより助長してしまうので。
あと、人が増える、会社が成長する、わちゃわちゃできる、といった「楽しい」という観点。
人を増やしていった方が、仕事が楽しくなるのでは、といった意見も聞きます。
これは人それぞれですね。
僕の場合、クライアントが成長企業なので、クライアントの成長が自分にとっての成長と感じることができるので、十分、今のスタイルでも「楽しさ」を感じることができています。
友人は少ない方ですが、つかず離れずの恵まれた交友関係だと思っています。
一方、技術伝承の観点については納得感がありました。
ある方に「あなたが教わってきたことを、別の方に教えていくことは必要なのでは?」と言われたとき、「たしかに」と腹落ちしました。
ただ、その方法は「雇う」以外もアリです。
その方法として、このブログがあり、クライアントへのコンサルティング活動があります。
過去に学んだことだけでなく、今まさに学んでいる現在進行形の実践知を、隠すことなく発信している背景が、ここにあります。
ときどき、ブログについて「無料」で発信していることの理由を聞かれたりしますが、敢えて言えばこの「技術伝承」の文脈になります。
書きながら、ふと思ったのですが、本来、技術伝承では相手の時間をもらい、その対価(お金)を相手に渡していくわけですが、僕の場合、読んでいただく方の時間をもらっている一方で、対価はお渡ししていません。
そう考えると「有料」なんて、まったくもって筋違いなのかも、、、
あと、こういう実践知は、実際にところ読んでも全員が目的を実現できないからこそ、価値があるとも思っています。
会社の利益体質も違うし、考え方や価値観も違う中で、同じように制度設計してもうまくいかないケースや、思いもよらない効果が出る可能性もあります。
なので、僕としては自分が知っていることを、(なるべく)すべてブログで発信し、もちろんクライアントとの守秘義務は守った上で、貢献できると嬉しいと考えています。
その活動を続けるためには、本業であるコンサルタントとして常に腕を磨き続け、目の前の仕事に誠実に向き合うことが「すべて」だと理解しています。
話がどんどん逸れていますが、つまり「人を雇うつもりはない」というのが今時点の考えです。