バリューや行動指針をプロセス評価に組み込む場合、評価尺度の上位に「周囲に良い影響を与えている」を設計するケースがあります。
わかる人にはわかる一方、わからない人にとって「周囲に良い影響とは?」と首をかしげてしまうことも。
周囲に良い影響を与えている人をイメージしながら、その具体的な行為を言語化しました。
①他者の行動変容を引き起こしている
ある方が日々の仕事の中でバリューを体現すると、周りの人が「これがバリューの体現ってヤツか」と理解が進みます。
テキストで表現された内容を現実で見たり、聞いたり、体験することで意味がわかるのです。
すると、自分も早速やってみようと真似します。
この連鎖が、組織に対するバリュー浸透で効果を発揮します。
結果、他者の行動変容を引き起こしていることになり、これを「周囲に良い影響を与えている」と言ったりします。
②フィードバックできる
バリュー体現できる方は、バリュー体現できない原因や改善策を提案することができます。
一緒に働いている中で、バリュー体現としてイマイチの場合や「こうすると、さらに良くなるかも」という場面で、建設的なフィードバックができます。
フィードバックする本人ができていることが必要条件。
十分条件としては、嫌みがないこと。
フィードバックするとき、嫌みっぽく言うのって困ります。
自らも試行錯誤し、さらに上質なフィードバックを受けてきたからこそ、それを他者にも恩返ししたい。
こんな気持ちを持っている同僚がいると、バリュー体現のフィードバックループが回り、浸透につながってきます。
③賞賛する
「それ、バリューだね」と、軽快に賞賛できる方って素敵です。
そういう方をスタートアップの経営陣で見てきました。
バリューを信じているため、それが体現されると嬉しいし、組織づくりの根幹が動いていることも実感できる。
そんな気持ちが、素直に賞賛につながってきます。
褒められた方も、「これがバリューか」「こうすればいいのか」と振り返ることができます。
褒められて嬉しくないのは、ただのシャニマカ(斜に構える)です。
褒めるって、テクニカルな文脈で語られることが多いような気がするし、実際そうなのかもしれません。
ただ、何を褒めるのか、の観点でバリュー体現というのが、意外と盲点にも感じています。
褒める側に恥ずかしい気持ちもあったり。
ぜひ、経営陣から率先してやってほしい。
これを恥ずかしがっていては、冷たい組織になっていきます。
文句ばかりで提案(代替案)がなかったり、「代替案を考えるのは、あなたの仕事でしょ」という態度をとったり(本人に代替案を考える能力がないだけで、それに気づいていないだけなのですが)、教科書的な質問をしてきたり、要するに尊重が無いということです。
こういう組織では、人は長持ちしません。
話はそれてしまったかもしれませんが、要するに認めましょう(褒めましょう)という結論です。
④仕組みや仕掛けを提案できる
最後は、「個」に対する働きかけでなく、「制度」に対する働きかけができることです。
バリュー体現を促す仕組みや仕掛けについて、積極的かつ実践的な提案ができる人がいます。
表彰・アワードといった小手先の提案でなく、もっと実践的なそれです。
ただし、こういう提案の背景には、結局は「個」に対する働きかけの方が大事、という意識があります。
制度はつくっても、簡単に形骸化してしまいます。
形骸化させないために運用に関して、細部にこだわるわけですが、その細部へのこだわりが結局は「個」に対する働きかけに帰結するというイメージです。
バリューは、本人が体現して終わり、育成はマネージャーの仕事、と割り切れません。
なぜなら、バリュー体現は足し算ではなく、掛け算だからです。
0(ゼロ)が一人でもいると、積み上げてきた経験値が、一気にゼロになってしまいます。
ブランドづくりと同じです。
足を引っ張る威力が、バリューにはあります。
なので、まずは採用でのバリューフィットを見極め、組織として浸透を心がけていくことが大事です。