人事制度を設計した後、制度の運用まで支援しています。
設計して終わりではなく、設計してからが始まりです。
スタートアップのように人事担当者がいない中で人事制度を設計した場合、以下の運用を誰が担当するのかまで想定しておくことが大切です。
この観点が見えていないと、運用が重い制度を設計してしまうことにもつながりかねません。
(1) 人事カレンダーの作成
人事制度の運用に関するToDoリストをデイリーベースでスケジューリングしたカレンダーを作成します。
何を、いつ・いつまでに、誰が実施するのか、を6ヶ月単位で見える化します。
(2) 被評価者・評価者リストの作成
被評価者と評価者の関係性をすべて整理したリストです。
期中入社者も追加し、入社日に応じて評価の対象可否もわかるようにします。
6ヶ月ごとに作成します。
(3) 個人別の評価シートの作成
評価システムを導入する前だと、個人別にスプレッドシートで評価シートを作成します。
こちらも6ヶ月ごとの作成です。
閲覧・編集権限まで設定します。
GASで自動化して対応しました(外部のエンジニアの方にお願いしてGASをつくっていただきました)。
社員数が50名にもなってくると、評価シートをコピペで作成するのは大変だし、権限設定などで事故も発生します。
私たちも何度も失敗を繰り返し、今の精度に至っています。
(4) 評価集計・分析シートの作成
個人別の評価シートから評価結果をインポートし、全社員分の評価結果を集計・分析できるシートです。
スプレッドシートのインポートレンジ機能をフル活用して作成します。
部門や評価者別に評価の分布を出したり、自己評価とメイン評価(評価者の評価)の差分をチェックしたり、全社員分の評価の序列を見たり、評価データを集計・分析します。
キャリブレーションに向けた評価会議で使用します。
部門別に評価会議の分科会を設定する場合、分科会ごとに集計・分析シートを作成します。
中間評価を実施する場合は3ヶ月ごと、中間評価がない場合は6ヶ月ごとに作成しています。
(5) 個人別の等級判定シートの作成
昇格・降格に該当する方向けに等級判定シートを作成します。
メイン評価者に等級判定を実施していただくためのシートで、こちらも権限設定まで実施します。
評価シートは全社員なので忘れることはありませんが、等級判定は毎期、対象者が限られるのでヌケモレが起きがち。
人事カレンダーでスケジュールを確認しながら、確実に運用していきます。
(6) 報酬シミュレーションシートの作成
評価や昇格(または降格)に基づき、報酬改定をシミュレーションするシートです。
個人別の新年収、人件費の増額分、昇給率が計算されます。
また、年収レンジの上限到達率も計算して明示することで、「そろそろ年収レンジの上限に達するので、昇給が止まります」というアラートをメイン評価者に伝えることもできます。
個人別の評価シートから評価結果をインポートすることで、評価昇給のシミュレーションを自動化しています。
昇格・降格については、対象者が限られているため、手入力対応です。
6ヶ月ごとに作成します。
(7) 個人別の処遇条件通知書の作成
報酬改定の結果として、年収がどのように変動するのか、その新旧を記載した処遇条件通知書を個人別に作成します。
等級、年収、昇給額・昇給率を記載しています。
変化を数字で正確に示すことで、報酬に対する納得感の醸成を図ります。
また、メイン評価者から被評価者へ処遇条件通知書を使って説明することで説明内容のブレをなくすと同時に、報酬の決定責任と説明責任を明確にする意図もあります。
絶対にミスが許されないため、クライアント企業と役割分担を定め、ダブルチェックのオペレーションを組みます。
こちらも6ヶ月ごとに作成します。
(8) 試用期間終了チェックのアンケート実施
入社後3ヶ月や6ヶ月で実施する試用期間終了のチェック。
そのアンケートシートを企画・作成し、展開を依頼します。
ほぼ「問題なし」でアンケートは終わりますが、本採用拒否の可能性がゼロではありません。
少しでも懸念があれが、経営にエスカレーションできる体制を構築します。
入社者が発生した都度、対応します。
(9) 人事制度のアンケート実施
評価や報酬への納得感を、ダイレクトに質問するアンケートです。
人事制度の振り返りに使う貴重なデータです。
中間評価を実施する場合は3ヶ月ごと、中間評価がない場合は6ヶ月ごとに実施します。
アンケートは質問数をとにかく少なくし、目的をフォーカスさせることがポイントです。
(10) 人事データのストック
評価や年収の履歴情報をストックしていきます。
評価者が変わるタイミングで履歴を見れるようにしておきます。
結構、手間のかかる作業であり、2-3年の運用を経て「履歴が欲しい」となると過去データを遡る労力が思いのほか高いことは経験済みです。