等級判定の運用パターンを考えてみました。
全社員を対象に、等級判定とフィードバックを実施する
期間を設定して、全社員の等級を判定してフィードバックするパターンです。
期間の選択肢として、「6ヶ月」と「1年」があります。
評価制度における評価期間とも連動する可能性が高いと思います。
私が設計する場合、人事関連をすべて「6ヶ月」で運用するケースが多いため、等級判定も6ヶ月ごとに実施するケースが多くなっていました。
ちなみに私自身がコンサルタントとして働いていたときは、等級判定は1年ごとでした。
特定の社員のみ、等級判定とフィードバックを実施する
全社員を対象としないパターンです。
詳細を考えると、選択肢はさらに3つに分かれます。
1つ目は、昇格者と降格者のみを対象にするパターン。
最もシンプルな運用です。
2つ目は、昇格者と降格者、さらに会社が必要と判断した方を対象にするパターン。
例えば、昇格はまだだけど、期待値の擦り合わせや昇格の見通しについて公式な面談を使ってフィードバックしたい場合です。
普段の1on1を通じて実施することも可能です。
3つ目は、昇格者と降格者、そして本人からの希望を募るパターン。
つまり、本人が会社(評価者)に等級判定とフィードバックを依頼するということ。
「そろそろ自分は昇格では?」「昇格するために必要なことは?」「期待値を擦り合わせたい」「フィードバックが欲しい」「なぜ自分は昇格できないのか、話したい」といった様々な気持ちに対して、本人からの希望を聞き取り、希望がある場合に等級判定とフィードバックを実施するパターンです。
パターンのメリ・デメ
評価基準 | ①全社員・6ヶ月毎 | ②全社員・1年毎 | ③昇格者と降格者のみ | ④昇格者と降格者+会社判断 | ⑤昇格者と降格者+本人希望 |
運用コスト | 重い | 重いと軽いの中間 | 軽い | 軽い | 軽いが、重くなる可能性がある |
期待の擦り合わせ・気づきの促進(成長支援) | 漏れなく、タイムリーにできる | 漏れなくできる | 漏れが生じる可能性がある | 漏れが生じる可能性がある | 漏れが生じる可能性がある |
等級判定への納得感 | 高い(フィードバックを受けれるという観点ゆえ) | 比較的高い | 低くなる可能性がある | 低くなる可能性がある | 比較的高い(本人による希望が機能すれば、という条件の下) |
6ヶ月や1年で全社員を対象に等級判定とフィードバックを実施できれば、期待の擦り合わせや気づきの促進、さらに話し合う機会をもてることで納得感の醸成につながることが期待できます。
一方、その分の運用コストが評価者と運営側に重くのしかかります。
パターンを考える上で、自社の組織づくりの方針も影響してくることが想定されます。
例えば、ハイレイヤー人材を中心に組織づくりを行う場合 (4-5等級が中心の組織という意味) 、等級が高いメンバーが揃うため、上位等級での昇格も頻度が少なくなったり、当人たちに自己認識も比較的ズレが生じない可能性が高まるため、6ヶ月でなく、1年ごとの運用期間でも問題ないかもしれません。
ただし、1年にした場合、もし「自分が昇格できると思っていたけど実際にはできなかった」というサプライズが起きると、挽回までの期間が1年と長く、そこで会社への信頼を損ねたり、最悪、転職を考える機会になってしまうリスクがあります。
1年にした場合、本人の意見や意識をきちんと把握するためのプロセスや時間を確保したり、そもそも普段から等級に対する認識合わせをしておくことも大事になってきます。
一方、一人前レベルの中途人材で組織づくりを行う場合だと、昇格の可能性・頻度も高まることから6ヶ月単位で制度を運用しておくことが適していると考えます。