異なる特徴をもつ2つの事業を同時並行的に推進している会社があります。
これから組織づくりが本格的にスタートしてくる中で、何を検討すべきか、考えてみました。
事業A
「現場」をもつ事業特性があります。
働き方について、夜勤シフトがある場合に、どういう報酬制度設計とするか。
夜勤の有無に応じて採用募集をかけると、すぐに「どっちが得(or損)」といった感情論争が起きるので避けたい気持ちが強く、全員夜勤有りの勤務形態でいいのでは、と思いました。
ただ、事情に応じて一時的に夜勤対応できない期間もありそうなので、その場合は日勤だけにして事情が解消されたら夜勤対応する。
その間は夜勤手当が一時的になるなるのが妥当か。
正直、ここも変動ではなく、固定にしたいところだが。
夜勤対応するのは、その職の専門性を向上させるためにも必要。
全員が多能工化し、人に教えることができるようにすることを目指したい。
次に報酬ポリシー。
成長に応じて小刻みな定期昇給を繰り返していくべきか。
どうも事業特性や事業人材にマッチしていない感覚がある。
少額をコツコツ昇給させていくよりは、3レベルぐらいのシングルレートで報酬を保障し、残りのインセンティブは会社成果で変動させるぐらいがちょうど良さそう。
事業に対する意識、価値品質に対する意識、財務に対する意識を、全体的に方向付けるぐらいシンプルにやらないと理解・納得を得ることは難しそう。
レベルはわかりやすく3段階。
- 人に教えてもらいながらやる
- 自立的にやる
- 人に教えることができる
細かいスキルや姿勢は、人事制度ではなく人材開発の領域で継続的にアプローチし、組織メンバー全員の能力アップを会社がリードしていく。
成長や変化を本人任せにしない仕組みと、成長や変化を志向する採用をハイブリッドで実現することが大事になってくる。
レベルに応じてシングルレートの設計なので、レベルアップすれば大幅な昇給が期待できる。
あとは、会社成果次第。
注意したいのは、業績だけを指標にしないこと。
業績(量)と価値(質)の両軸を総合的に判断し、報酬還元していく。
なぜか。
価値(質)こそ、差別化要因であり、価値でしか差別化できない領域なので。
本質的にはどの業界・市場も同じことが言えるかもしれないが、この領域は顕著であるはず。
最後は気持ちの世界なので。
その他には、ざっとこんなところか。
- 短期的な評価はせず、フィードバックを重視する
- 管理者に、きちんとしたマネジメント教育を提供する。決して、子ども扱いしない
- 業界の水準や慣習に引っ張られず、自分たちがスタンダードをつくる意識を全員がもつ
- ロビー活動。利害関係をハックする
- 共存とM&A
事業B
テクノロジーよりの事業ですが、どこまでドメイン知識を求めるか。
知識というよりは、ドメインへの当事者意識か。
この当事者意識をどのように測るかが大事になってくる。
ぼんやりとした問題意識ではなく、とにかくオーナーシップを持って自分事化できるか。
そのドメインにおける問題に接した経験があるとないとでは、見方が変わってくるだろうから、素直に求めたいところ。
そうすると、採用の間口が狭まってしまうため、新人を育成するプロセスイノベーションや未経験の専門人材にドメインの経験を積ませるプロセスイノベーションは効果的かも。
ただ、ここは今の自分には設計・開発が難しい。
自分自身が「現場」からのインサイトを得ないと、体系化はできなさそう。
あとは、愚直な営業だけでなく、レバレッジは最初から求めていきたいところ。
中小が乱立している中で、効率的に戦略実行することが顧客のためにもなる。
ビジョンやミッション、要するに「気持ち」のビジネスであり、社会活動なので、遠慮なくアプローチを仕掛けることで変化をリードしていきたい。
経営
経営チームに妥協はできない。
成長の先に経営(経営チーム)があるのではなく、経営人材を採用してこないとダメ。
それだけの問題の広さと深さである。
その領域の専門人材も必要だが、私としては起業家精神が最も大事になると考えている。
大きな改革が必要な業界だし、行政も深く関わるため、その道を知っていると逆にブレーキがかかってしまう懸念が強い。
そうではなく、思いっきりリスクを取って、リターンを狙っていきたい。
顧客や現場では、相当慎重にリスクヘッジしながら進めるべきだが、経営として大いにリスクを取っていきたい。
その経験を繰り返し、ヘッジすべきところを逆算するぐらいがちょうど良さそう。
ローリスク・ミドルリターンも違う。
ハイリスク・ハイリターンでなければ、意味がない。
現実的には、当人たちはハイリスクだと思っていないのだが、そう思われるくらいがちょうどいい。
だからこそ、倫理観・誠実さといった価値観が、経営や事業のベースになってくる。
単純に「誠実さ」ではない。
リスクを取るからこそ、「誠実さ」を常に体現しなければならない。