ローパフォーマーへの向き合い方は、組織の生産性に強く影響を及ぼすため、注意が必要です。
ローパフォーマーとは?
まずは定義から。
ローパフォーマーとは、期待される成果に到底及ばないメンバーを想像するかもしれません。
間違いではないのですが、もう一つ重要な観点があります。
それは周囲にネガティブな影響を及ぼすこと。
- あの人と働きたくない
- あの人とコミュニケーションが取りづらい・取りたくない
- 依頼の仕方は、上から目線・高圧的で困る
- お願いしたことを全然やってくれないし、しょーもない言い訳をする
- 「なんだ、あいつ」って感じ
周囲の本音を聞き出すと、相当なものです。
明らかにおかしい場合、入社1ヶ月程度でわかります。
異変を察知したら、フィードバックが必要ですが、多くの会社でスルーしてしまいます。
本人にも何か理由があるんだろう、という正当化によって、火中の栗を拾わないのです。
ここで逃げてはいけません。
そして、意を決してフィードバックする際にも注意が必要です。
全然、伝わらない
フィードバックしても、「全然、伝わらない」という前提を認識しておくことが大事です。
フィードバックして「わかりました。申し訳ございません。改善します。」と言って、本当に改善できるようなら、こんな状態には陥りません。
本人は、「ん、何を言ってるだろうか、さっぱりわからない」、「それって、自分が悪いってこと?意味わかんない」、「前にも同じこと言われたかも。何がいけないんだろう」という気持ちです。
表面的な合意に安堵して、その場を終わらせてはいけません。
なぜ、こういう反応なのか。
自分の仮説です。
人間性や感覚にズレが生じています。
十人十色。
自分(自社)にとっての普通・常識が、相手にとっての普通・常識でない場合があります。
こういう人とは関わらないことが鉄則ですが、関わってしまった、と認識しましょう。
また、相手が何度も同じようなことを言われ続けている中で、なぜ自分が責められているのかわからない状態を正当化し続けたり、自分に対してウソをつき続けると、それが本当のように錯覚してしまう場合もあると思います。
なので、相手に自分を正当化している感覚やウソをついている感覚はありません。
この状態のまま、緩めのフィードバックを続けると、フィードバックする側が「なんでフィードバックしているのに、全然改善されないんだ」と強いストレスがたまってしまい、自分の仕事どころではなくなってしまいます。
こうして、組織の生産性が落ちていきます。
事実を文書で伝え、イエローカードを提示する
対策です。
まず、問題となる言動を事実で伝えます。
メールやチャットで記録されていれば、スクリーンショットでそのまま提示します。
相手は「それの何が問題なの?」と思っているので、この言動がどういう負の影響を及ぼしているのか、まで言語化します。
最終的なメッセージは、「このままでは、あなたと一緒に働くことはできない」ということになります。
ここで相手の意見や気持ちも汲み取り、こちらが見えていなかったことや勘違いしていることがないか、を振り返ります。
無理に反論することはせず、一度受け取ります。
話を進めていった先で、最後にイエローカードを提示します。
同じことがこの先1ヶ月で起きたら、レッドカードの可能性があることを伝えます。
レッドカードは「解雇」ではなく、「退職勧奨」の意味合いです。
ここで初めて本人は「マズイことをしたかも」と認識しますが、どう改善していいかわかっていないし、そもそも改善してまで居続けたい場所かどうかもわかりません。
ここから改善に向けた指導やコミュニケーションがスタートします。
読んでわかる通り、膨大な負担がかかります。
実務的な負担だけでなく、精神的な負担も。
対応する方の通常業務は止まると考えた方がいいかもしれません。
常にこのことが頭から離れず、悩みの種になります。
先ほども書きましたが、「自分(自社)にとっての普通・常識が、相手にとっての普通・常識でない場合」なので、ストレスが半端ない。
こういう経験をすると、採用で絶対に妥協しないようになります。
最後に1点。
問題の背景に「「自分(自社)にとっての普通・常識が、相手にとっての普通・常識でない」があります。
あくまでも自分や自社の普通・常識とズレているだけであって、それが他人や他社とはズレておらず、マッチしている可能性は十分にあります。
相性の悪い環境で、自分の大切な時間を消化することは幸せではありません。
これはお互いに認識すべきことです。