評価者や人事は、ツァイガルニク効果を知っておくと便利

ツァイガルニク効果、言いにくいですね。

ウィキペディアで調べると「達成できた事柄より達成できていない事柄・中断している事柄を意識している状態」となっていました

 

評価者の方は、この言葉を知っておくと便利だと思います。

あと、人事の方も。

 

悪いところに目がいってしまう

人事評価をする際に意識したいことは、良かった点を探してフィードバックすること。

そして、改善点も伝えること。

そのバランスを取ることです。

 

相手が「フラット」に「評価者として」見てくれていると思ってくれてこそ、納得感が生まれます。

 

しかし、どうしても悪いところに目がいってしまうもの。

良かった点だけフィードバックして、改善点がおろそかにされたらどうしようか、なんて考えてしまうことも。

 

意識しないと、良かった点へのフィードバックが薄まり、改善点(問題点)への言及に終始してしまいます。

そのとき、「ツァイガルニク効果」ってのがあって、達成よりも未達に意識が向きがちなのがヒトなので、意識的に達成(良かった点)について言及しよう、と立ち止まることができます。

 

評価シートに書き込む、もしくは書き込んだタイミングで、一度ツァイガルニク効果のことを思い出すだけで構いません。

その仕掛けとして、自身のつくった評価やコメントが効果的かどうかを振り返ることができます。

 

言葉・概念の理解は、仕掛けとして機能しやすいです。

 

人事にも役立つツァイガルニク効果

偏っているかもしれませんが、人事の仕事って褒められたり、感謝されたり、成果を感じたりする機会が少ないかもしれません。

 

自分はあくまでもコンサルタントであり、人事ではないのですが、正解のない難しい仕事だなと思っています。

「承認欲求が強いと人事には不向きかもしれない」なんてことを登壇の機会に喋ったこともありました。

 

ミスできない仕事であり、やって当然・できて当然、さらには大いにロジカルとセンスと直感が求められる仕事です。

こんな人事の仕事をやると、達成よりも未達、一歩一歩進んでいることよりも止まっていること、問題なく進んでいる状態よりも起きている小さな問題に捉われがち。

自らを承認する機会をつくることもできません。

 

こんなときにもツァイガルニク効果です。

「いや、十分にできているところはある」と、自分を甘やかすわけではなく、丁寧に振り返ることを促してくれます。

そして、本質的な課題にもフォーカスすることができるようになります。

 

「今回はこっちにリソース割いたから、こっちが弱かったかも」という振り返りで、リソース配分に問題だったのか、プランニングに問題だったのか、そもそも問題でないのか、が見えてきます。

 

できていることをきちんと把握しないと、次につながりません。

でも、できていると感じにくい。

そんな状況を改善するにも、ツァイガルニク効果という言葉・概念に頼りましょう。

ヒトは、こんなものです。

 

私は、組織サーベイのフィードバックで問題に気づきました

とあるクライアントで組織サーベイのフィードバックを行っている際、良いところよりも改善点に目がいってしまうことを経験しました。

問題を感じさせるスコアの低下があり、その部分にフォーカスしてフィードバックし、ファシリテートしていたのですが、経営陣に特に問題意識はなく、経過観察でいいかも、という結論になりました。

 

自分もその結論に違和感はなかったのですが、ある経営陣の方から「でも、うちの会社って『カルチャーが好き』って回答している人が100%ってすごくない?」と意見があり、「たしかに」と。

カルチャー設問が100%ポジティブなら、他の設問は多少変動があっても大丈夫でしょ、といった感じです。

 

素直に「そうだな」と思いました。

どうしてもポジショントークから問題中心で捉えがちですが、良い部分を認識することの大切さを素直に学んだ気がします。

 

先方も否定する感じではなく、フラットに情報を見て、経営者としての意見を述べてくれており、自分もこの姿勢・目線を体現できるようにならないといけないな、という貴重な経験でした。

 

話は少し逸れるかもしれませんが、独立後の自分は、本当にクライアントによって引き上げられ、成長につながっているな、と書いていて気がつきました。

 

Share this…