「意思決定が遅い」とは、どういう状態なのか。
スタートアップの観点で、自分なりの気づきをメモしました。
意思決定したつもり
意思決定したと当人たちは思っているものの、何も決まっていないことがあります。
「これ誰がやるの?」
「Aチームがやる」
こういうことがよく起きます。
チームは「概念」であり、「責任者」ではありません。
「あとはチームのリーダー/マネージャー、よろしく」という暗黙の前提でモノゴトを進めようと思っていても、なかなか進みません。
いくらでも言い訳ができる環境なので。
抽象的な意思決定が出た場合、「いや、で、チームの誰が責任を持つの?」と突っ込める当事者意識が求められます。
必要なのはわかっているけど、放置される
「これ決めないとダメだよね」とわかっていても、その解決策がわからないため、起案されません。
下手にボールをもって失敗したくもありません。
放置されている状態です。
「誰がボール持つの?」とみんなで牽制し合い、現場から「これどうなってますか?」、「いい加減、決めてくれ」、「これ決まらないと、こっちが動けない」といった声に、どうしようもなくなり、思考の浅い意思決定がされてしまいます。
穴だらけなので、トライ&エラーを繰り返し、最終的にエラーで終わります。
「スタートアップは走りながら考える」という言葉が許されるのは、トライ&エラーの結果として「エラーでない状態」になった場合だけです。
エラーで終わってしまう場合、単なる言い訳に過ぎません。
「~だと思っていた」が繰り返される
「認識がズレていた」といえば許されるのかもしれませんが、思考・コミュニケーション・折衝の怠慢です。
この発言は、比較的「経営に近い方」がしやすい。
メンバークラスでこれを言ってしまうと、負のレッテルが。。。
現状を正当化し、反省から逃げてしまうことは改善・成長が見込めません。
こういう発言には、明確に「No」を突きつけましょう。
組織や事業の成長に、1ミリも寄与しません。
意思決定者が限られている
なんでもかんでも経営者が意思決定している組織は、本当に意思決定が遅くなります。
現場・マネージャーで判断できない、もしくは判断すればいいけど確認したくなってしまう。
これが行動レベルで定常化していきます。
これがカルチャーです。
たいてい、経営者は「現場で決めてほしい」とメッセージングしますが、その通りに動きません。
なぜなら、結局、経営者が介入し、決めているからです。
問題は2点。
言行一致していないのは経営者本人も分かっています。
そこで、本人がやることは、自分を正当化してしまうこと。
「現場で決めてほしい。だけど、これは~だから、自分が・・・」とビジョナリーに語ってしまうのです。
経営者の特殊スキルが大いに発揮される場面です。
そして、2点目は、こういう場面になった際、それを諫める方が周囲にいないということ。
経営がチームとして機能していない。
ガバナンスの「ガ」すらない状態。
本当に「裸の王様」になってしまうのです。
さらに、こうしたケースで周囲の方は大いに勘違いをしていることが往々にして、、、
「諫める」のでは、何とか相手の意向通りにやることが自分の役割なんだと。
正しい方向であれば、このマインドセットも間違っていませんが、正しくない方向だと。。。
結果として、意思決定できる人、要は「責任」をもてる人がおらず、組織が拡張していきません。
決まっているようで、決まっていない
意思決定されたかのようにドキュメンテーションされていることがあります。
それはもう決まったものだと思っていたら、実は決まっていない。
「いや、ここに、こう書かれているけど。」
「いや、これは今は決められない。わからない。」
本気で決めたことではなく、「とりあえず」の気分で置いた案なので、効果的に機能することはありません。
再考と再決定が必要ですが、そもそも振り返りの基準と見立てがないため、改善の質は上がり切らず、同じ失敗を繰り返すことになります。
問題と原因に向き合わない
問題解決しないといけない場面。
大事なのは、芯をくった原因を特定し、その原因に向き合うこと。
そもそも原因に目が向かない場合もあれば、原因は(なんとなく)わかったとしても情がわいてしまい、解決実行を邪魔してしまうこともあります。
悩ましい。
打つ手がない。
どうしよう。
今は決められない。
こうなると、先ほどと同じく現場からの突き上げに合わせた意思決定が行われます。
結果は、問題と原因を無視した現状維持。
同じ問題を繰り返し、2度あることは3度ある、を体験することになります。
【まとめ】当事者たちは気づいていない
「意思決定が遅い」というのは、同じフェーズ・規模の組織で「意思決定が速い」ケースを見たことがないと判断できません。
相対比較できることで、はじめて「遅い」とわかるのです。
なので、「意思決定が遅い」と外部から指摘されても当事者たちは気づかないし、ネガティブフィードバックゆえ、自己防衛しようと自己正当化してしまいます。
もちろん感情的にもなります。
「意思決定が遅い」とは伝えず、上記のような現象を事実ベースで整理し、意見を伝えることが解決の糸口になります。
意思決定の遅さはスタートアップには致命的です。
このカルチャーが出来上がってしまうと、見栄えはいいけど中身のない組織になってしまい、自己認識も歪みます。
早急に対処する必要があります。