評価制度を入れると、評価面談や評価結果のフィードバック、評価シートへの記入など、重い作業が増えます。
ネガティブな評価をフィードバックする場合、心理的にも。。。
「評価制度、必要ないのでは?」とか、「評価制度、いらなくねぇ?」といった声が挙がった場合、目的から振り返るのもいいかもしれません。
4つの目的
人事評価の目的を、4つ挙げてみました。
①方向付け
目標設定や行動評価基準を通じて、会社が目指す方向に向けて、組織を動かします。
②動機付け
できたこと(達成したこと)をフィードバックし、ホメ等を通じてモチベーションを上げます。
③人材育成
できたことをフィードバックし、認めることで次も同じようにできるように促します。再現性を高めます。
一方、できなかったことを振り返り、その原因と対策を考え、次はできるようにします。
④報酬決定
評価した結果を報酬に反映します。実力や実績に応じて、報酬原資を分配することで、フェアに報酬を決定できるようにします。
批判的意見と応答
評価制度における目標設定がなくても、会社の経営計画・事業計画、方針から自分の「やるべきこと」ってわかるので、別に「評価制度、必要ないのでは?」という意見が挙がります。
「確かに、そうですね。」
別に評価されたくて仕事やっているわけでもないし、評価制度でモチベーション上げてもらわなくても、それは自分で何とかやりくりするし、評価制度上でなくてもマネージャーがホメてくれることもあるので、「評価制度、必要ないのでは?」という意見が挙がります。
「(そう簡単な話ではないのですが、百歩譲って)確かにそうかもしれません。」
人材育成についても、評価制度がなくても日々のOJTや1on1を通じて、マネージャーが本来はやるべきことであり、評価制度の存在を正当化する理由にならないのでは。評価基準の言語化・見える化は必要かもしれないけど、評価をシステム化して、最終評価をレーティングする意味はないのでは。
「確かに、そうかもしれませんね。」
報酬決定についても、評価制度がなくても成果や頑張りをマネージャーが見て、会社が示した報酬原資を分配すればいいのでは。
「本当?鉛筆なめればいいってこと?」
「報酬決定」は代替できないのでは?
方向付け、動機付け、人材育成は、評価制度でなくても十分に代替できると思います。
確かに、評価制度や個人別の目標設定の仕組みがなくても、やらなければいけない仕事はたくさんあります。
評価基準さえ、規定されていれば、マネージャーの指導も可能になります。
しかし、報酬決定は評価制度抜きでやろうとした場合、できるのでしょうか。
基準とプロセスを抜きにして、マネージャーに報酬決定を委ねるということは、俗に言う「鉛筆をなめる」という行為で、個々人の報酬を決めていくことです。
人材の流動性が比較的高いスタートアップ業界で、このシステムは組織の拡張可能性を保てるでしょうか。
自分は「No」だと考えています。
だから、評価制度、さらに包括的な制度である人事制度(等級・評価・報酬)が必要になる、とメッセージングしています。
どうしても「評価制度は必要ない」という会社では、代わりに報酬決定をできるような仕組みを設計・運用できれば、何とかなるかもしれません。
もちろん、メンバーがそこに納得していることが条件です。
報酬決定というのは複合的な行為であり、個人や家族への影響はもちろん、社会的にも影響があります。
それだけ重大な意思決定事項なのです。