経営に近いマネージャーに期待することに「長期視点」があります。
長期を見据えて、ビジョンを打ち出し、戦略を立案して、組織を方向付ける。
柔軟に軌道修正することも求められます。
勢いのあるスタートアップほど、この長期視点にネガティブな声が出ます。
「先のことなんてわからない」
等級要件や評価基準に長期視点を組み込もうとすると「先のことなんてわからない」という声が挙がります。
その通りです。
だからと言って考える必要はないのでしょうか。
それは、Noと理解してくれます。
ただし、「わからない。できない」と続きます。
この議論をする中で気付いたことは、期待していることは長期、例えば10年先を「考えること」。
しかし、相手の方は、10年先を「当てること」と受け取っているように思います。
「当てろ」とは言っていません。
「考える」と言っています。
この認識を擦り合わせるだけでも、議論は前進します。
こうしたやり取りを通じて、長期視点で考えることを求めることは、マネージャーの成長(会社にとっての人材育成)にもつながります。
長期のプランニングは必要ないのか
ちょっと前までよく「ブーカ(BUCA)」というワードを見聞きすることがありました。
最近は見る(読む)機会が少なくなってきた気がします。
要は「不確実」だと。
(当たり前だと思うのですが)
その中で先を見通せない中で中長期計画をやめるだとか、注目を引くような取り組みも紹介されていました。
この計画にリソースを大きく割いて、手段と目的が逆転し、つくって終わり、になるのはやめた方がいいと思いますが、長期視点で計画することは必要だと思います。
なぜなら、考えることで今わからないことが明確に見えてきたり、現状とのGAPが把握できたり、考えていなければ気づかないようなことも見えてきたりと、意味があると思うからです。
わからない。
だからこそ、考える。
自分が大学の倫理学の授業で聞いたことです。(これぐらいしか覚えていません、、、)
当時は、「戦争はなくならない。だからこそ、なくそうとする」という話でしたが、自分の中で大きな軸になっている考え方です。
「わからない」と認める謙虚さ。
「だからこそ」という気概。
マネージャーに期待したいマインドセットです。
「100年先の競争優位を見据えて」
とある書籍で、ワークマンの土屋氏のお話が面白かったので一文を引用します。
「会社の将来を見る」役割の土屋氏は2年間の観察や読書を経て、100年先の競争優位を見据えて、顧客層の拡大とデータ経営に取り組むことを決めた。(P45)
『教科書経営 本が会社を強くする』 日経ビジネスシニアエディター 中沢康彦
100年先。
わからないですね。
だから、考えたくなりました。
ちなみに本論とはズレますが、以下の文章が本書で一番印象に残りました。
三井物産で成果を残してきた土屋市が、叔父が創業したワークマンに誘われ、CIOとして入社した際に言われたそうです。
入社すると叔父からは「人材育成以外、何もしなくていい」と言われた。(P43)
痺れますね。
やらなくていいことを決めるとは、こういうことなんだという大いなる学びです。