とある会社さんの人事制度事例を見ていて、興味深い内容がありました。
必要滞留年数です。
必要滞留年数とは?
人事制度において、等級制度を設計する際、必要滞留年数というルールがあります。
例えば、1等級には最低でも2年は経験を積まないといけない、というように昇格の条件に勤続年数が加味されているという意味です。
簡単に言えば、年功序列な制度を生み出すルールです。
大手企業で制度設計していた際、確かに滞留年数を考えていました。
特に、退職金制度がある場合、制度設計・シミュレーションに必要な情報のため、不思議なくらい普通に設計していましたが、今見ると違和感でしかありません。
時間(勤続年数)で、昇格をコントロールするメリットとデメリット
2年は滞留しないといけない、マネージャーになるまでに10年は経験が必要、といった制度のメリットは何か。
横並びをつくることで、形式的に落ちぶれた人をつくらないことでしょうか。
マネージャーが「昇格」の見極めをしなくて済むような補助概念でしょうか。
個別評価(等級判定)に対する負荷・手間の削減はあるかもしれません。
でも、滞留年数を管理する無駄はありそう。
メリットとは、何だろう。
一番のメリットは、こうした根拠が明確でないルールを会社がトップダウンで押し付けるカルチャーを浸透させることかもしれません。
なぜ、2年なのでしょうか?
なぜ、1年でないのしょうか?
もしくは、3年でないのでしょうか?
5年でないのでしょうか?
そして、なぜ時間という概念が入るのでしょうか?
その間に休職したらどうなるのでしょうか?
休みが多かったら?
評価が低かったら?
中途入社者は?
天才が現れたら?
イレギュラー扱いしてくれるのでしょうか。
説明(理由)がつかないことも、「ルールです」の一言で動かせるのが大企業の強みです。
未来が見通せる状況であれば、一気呵成に組織は拡張していくでしょう。
今更、こういう制度を変えることはできないのかもしれない
ここまで根が深いと、今更変わる(変える)ことはできないと思いました。
だから、ゼロイチから作って変えていかないといけないと。
私が読んだのは、ざっくりと「管理職になるまでの最短の滞留年数を短くした」という内容でした。
なくしたのではなく、短くした、です。
年功序列はなくなりません。
こういう仕組みを見て、改めて思ったのは「努力して成長しても評価されない」ってことですよね。
成長するインセンティブがないし、成長する人ほど、評価してくれる他の場を探すかと。
自分としては、本当にこう思います。
言葉が強いかもしれませんが、「差別だな」って。
でも、これでも個別企業は成長するというのが面白いところです。
「合成の誤謬」と呼べるかもしれません。