人事制度の観点で、ミドルマネージャーの階層ができると、等級判定や人事評価、報酬決定の権限移譲について悩みます。報酬決定まで関与してもらうか、個人の報酬情報を共有することに問題ないか。
様々なことを考えながら、権限周りのルールを設定し、実装していきます。
しかし、多くの場合、このタイミングで単純なミス、もしくは「想定と違う」といった認識違いによって、事故が発生します。
計算ミスや見せてはいけない情報が公開されていたり。組織拡張に応じて、制度運用することは容易な仕事ではないため、どうしてもこうした状況に陥ります。
そこで解決策として、システム導入が提案されます。効率化だけでなく、安全・安心を担保するためのツールを導入し、改善を図ります。システムを導入し、運用を改善することは間違った施策ではありません。
ただし、本質的な原因は、シンプルにリソース不足なのです。
コストセンターである組織人事部門にメンバーやマネージャーを補充した方が良いと考えるケースは少なく、採用メンバーや他のコーポレートメンバーの兼務、パートタイムメンバーで対応します。
仕事の難易度や専門性が考慮されず、とりあえず仕事を回す、繰り返しの作業に対応するという感覚があります。
ここに大きな罠があります。
既に自論を展開した通り、人事制度の運用は繰り返し作業の仕事ではありません。制度運用を通じて、課題を発見、優先順位を決めて、組織を巻き込みながら解決をリードしていきます。
難易度も専門性も高い仕事なのです。
そして、経験を積んだ人事メンバーがいることは、300名、1000名と組織が大幅にスケールした際に効力を発揮することになります。
課題が出てから、人事メンバーを採用しても手遅れなのです。課題解決に動き、対応が完了するころには次の課題、次の課題へとテーマは移り、後手に回ります。
成長スピードのスタートアップほど、間に合いません。組織が100名になる頃に、人事メンバーは5名体制を作っておきたいところ。5%です。
この人事メンバーは、人事、採用、労務の企画領域に関わるメンバーです。採用領域で定型化されたオペレーションを担う方はカウントしていません。
20名に対して、1名の人事メンバーを配置できるように人事チームの組織づくりを考えていきましょう。