スタートアップというには、もう規模が大きくなっているかもしれません。
1000人を超えて、さらに事業成長する組織で起こる課題を言語化します。
「型」としてのソリューションまでは仕上がっていないのですが、自分なりに考えた案まで記します。
利益を投資することへの既存メンバーの感情
1000人を超えて、さらに組織拡張しているフェーズでは、既存事業をさらに成長させる投資と新規事業を生み出す投資が実行されます。
その際、外部が資金調達する場合もあれば、既存事業における利益を投資に回す場合もあります。
経営陣からすれば、何も違和感のない「経営」ですが、既存メンバーからは「自分たちが生み出した利益が、自分たちの報酬として還元されない」という声が挙がります。
特に、労働集約の事業で年収水準がそれほど高くない事業の場合、こうした声がより一層強くなります。
一方で、経営としても労働集約のフロー型から、ストック型のビジネスへ転換したい気持ちも強まるため、こちらは投資意欲が高まります。
お互いの気持ちが相対峙し、「自分たちのこと(立場)をわかってくれない」「経営の視点をもってほしい」と互いに身勝手な感情でストレスを抱えます。
意思決定はもちろん経営の裁量なので、経営の意向でモノゴトは進みますが、現場のメンバーの裁量は、モチベーションを低下させること、仕事の品質を下げること、そして退職することです。
年収水準が低い組織は、新規事業への投資が難しい
こうした感情から分かるとおり、労働集約で年収水準を抑えながらも事業を成長させてきた場合、第2フェーズへと事業拡張することが非常に難しい状態にハマります。
「ビジョン」や「ミッション」という輝かしいワードを掲げても、現実問題としての報酬が足かせになってしまうのです。
年収水準が低いことは、自分たちでも把握していますが、仕事や役割に見合った価値として妥当な対価である、という方針のもと、この状態が維持されます。
確かに「妥当な対価である」という考えは間違いではないかもしれませんが、個々人の価値を最大限発揮できる仕組みや環境づくりを先送りしてきた結果ともいえます。
この状態の問題は、年収が低いという事実はもちろんのこと、経営としてネクストステージへ進むことが難しいということです。
現場感情を無視して、理念系のリーダーシップを発揮して、事業・組織を成長させることはできますが、一定のところで頭打ちになります。
そう、無理なのです。このビジネスモデルでは。
組織の報酬水準を不満が出ないレベルまで上げるビジネスを、多角的に構築しようとするのは、なかなか難易度が難しい。
順番を間違えると、勢いのある会社はできるものの、一定のところで成長は止まります。
言ってはいけないかもしれませんが、普通に考えた帰結だと考えています。
株式報酬の活用
既存事業における利益を投資に回す場合、その投資に対する利益にレバレッジをかけて還元するのが、株式報酬です。
利益連動賞与では、レバレッジがかからないので、物足りなさがあります。
株式報酬として、一般的な「持ち株会」は有効に活用したいところです。