今年一番の学びだったかもしれません。
導入した人事制度を運用する過程で、未来を予見し、仮説を立て、人事制度と運用を改善する。
当たり前にやってきたことですが、これはもっとフィーチャーされるべき専門能力です。
深く考えると、「当たり前にやってきたことですが」と書いているが、自分は全然できてなかったということです。
後手に回らず、先手をうてるか
50名の組織規模が100名の組織に拡張する際、人事制度を改善できているか。
300名への拡張フェーズではやらざるを得ない状況のため、改善は進むはずだと思います。
しかし、やらざるを得ない状況とは「後手に回っている」と同義です。
課題や不具合が顕在化して、対応している状態です。
これが普通であり、これができるだけでも十分かもしれません。
ただし、組織拡張に対する見立てがあれば、先手をうつことができます。
これを実行するのは、かなり専門性の高い仕事なんだと最近、気づきました。
前回やっていたやり方を変更し、新たに企画しないといけない。
等級判定や人事評価のやり方や進め方(オペレーション)。
報酬改定への接続。
評価者が増える中でのガイドライン設計。
被評価者が増える中で、いかに制度運用の体験を良くするか。
現状に対して、建設的な疑問を抱き、常により良い状態へと進化させる心構えがあっても、なかなか重い腰が上がりません。
「今のままでも、何とかできるでしょ」と考えたくなる気持ちだけでなく、そもそも大変難易度の高い仕事だからです。
制度と運用を改善し続ける
等級判定や人事評価、報酬改定といった人事制度の運用は、明確な期限があります。
制度次第ですが、等級判定と報酬改定は年2回、人事評価は中間評価も含めて年4回が、自分の制度設計の「型」です。
この期限に合わせて制度を回すだけでも大変な仕事ですが、さらに制度と運用を改善しなければなりません。
期限を守りながらオペレーションを動かし、同時に改善を企画するには、並外れた「段取り力」と「企画力(想像力)」、さらには「論理的思考力」が求められます。
どれか1つだけでは足りません。
課題や不具合が起きるたびに対応するもぐらたたきの状態に陥り、担当者が疲弊します。
一人でできない場合は、リソースで対応しましょう。
段取りのスペシャリスト、企画のスペシャリスト、どちらにも論理的思考力が備わっている状態です。
そしてこの2名をマネジメントするHRマネージャー。
人事制度導入後、制度運用するのは3名体制がミニマムかもしれません。
もちろん言われて動くレベルの人材ではなく、自律駆動できる人材です。
コストセンターゆえ、リソース配分には慎重にならざるをえません。
しかし、運用でやることを丁寧に紐解けば、リソースの充実化は不可避です。
「制度運用は難しい」の意味がわかった
人事制度を導入しても、運用がうまくいかないケースは幾多とあります。
自分でも「制度運用は難しい」と理解していましたが、意味を丁寧に考えると「運用」と言っておきながら、純粋な「運用」の他に「制度改善」と「運用改善」という企画の要素が大いに含まれていました。
だから、難しいんだと。
「運用」だけではないのです。
運用にフォーカスして、人材を考えると「決められた仕事を決められた通りに実行する人」と考えられます。
間違っていませんが、これは一つの側面でしかありません。
「制度改善」という組織規模に応じて人事制度をアップデートできる専門能力
「運用改善」という組織規模に応じてオペレーションをアップデートできる専門能力。
非常に専門性の高い仕事であると認識できそうです。