OKR考察(1)

ジョン・ドーア著『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』を読みながら考察したことをメモします。

今日は、第1章から第3章(P77)まで。

 

 

自分たちに合った使い方を見つける

序文におけるラリー・ペイジの言葉。

 

OKR とは、様々な組織が目標に向かって前進するのに役立つシンプルなプロセスだ。グーグルでもこの間、常に使い方を見直してきた。みなさんにも、OKRを基本的枠組みととらえ、実現したい目標に合わせて、自分たちに合った使い方を見つけてほしい。(P2)

 

OKR に正解はないということ。

哲学はあったとしても「OKRとは・・・」と演説することに意味はありません。

自分は、決してOKRオジさんになってはいけない。

戦略、組織、経営環境によってプロセス(仕組み)は変わっていくべきものです。

序文に、大切なことが書いてありました。

 

OKRの簡素化

グーグルは当初、四半期OKRを導入し、その後年間OKRを追加して二重構造のプロセスにした。ラリー・ペイジからCEOを引き継いだピチャイはそれを年間OKRだけに簡素化した。OKRプロセスの実効性を高め、期限の区切られた目標が順調に進捗していることを確認するため、各部門は四半期ごと、ときには6週間ごとに進捗状況をとりまとめている。(P29)

 

もともとは年間OKRが無かったという点。

これもよく現場で聞く話です。

四半期OKRから導入するが、リズムにモヤモヤを感じているとのこと。

「1年間のOKRはありますか?」という声にハッとして「ない」という返答から、年間OKRが導入されるケースもしばしばあります。

 

簡素化のくだりについては、年間OKRだけに変更し、四半期のOKRは設定しない?ということかどうか、これだけでは、わかりません。

ただ、部門単位では四半期、もしくはその半分の6週間で振り返りが行われていることは確かです。

やはり、OKRのリードタイムは四半期=12週間が適しているということを表しています。

色々と簡素化されて改善される中、四半期の振り返りタイミングは変わっていないように見えるのは、大事なことなのかも。

この四半期は、変えてはいけないということかもしれません。

 

Objective は中長期的な観点で設定される

さて、インテルはミッドレンジのマイクロコンピューター市場を支配できたのか?それは何年か後にわかる話だ。ただ次の四半期末には、新たな設計が10件受注できたか否かはわかる。(P42)

 

前者は、Objective、つまり目標であり、目指すべき場所。

後者は、Key Result、主要な結果。

Key Result は四半期末に測定可能である一方、Objective は四半期ではなく数年単位で評価されるものとの解説です。

すべてのケースで当てはまるものではないと思いますが、傾向としてObjective は中長期的(「何年か後』)な目標になりそうという考察です。

この辺の時間軸に対して、あまり説明がない気がしました。

自分たちで考えてやってほしい、という意図なのでしょうか。

 

Objectiveは3~5個、Key Result は5個以下

1サイクルあたりの目標を3~5個に限定すると、企業や組織や個人は最も重要なものを選ぶようになる。通常、個々の目標に連動する「主要な結果」は5個以下にする。(P56)

 

Objective と Key Result の数の定義は重要。

自社に合った形にアップデートしていくことが前提だが、OKR は組織を重点目標に強く方向付けることが狙いであるゆえ、目標を絞り込む必要です。

そして、「絞り込む」って何個?

Objective は3~5個、Key Result は5個以下です。

 

そして、この解説の近くに、Key Result はサイクルの途中でも修正したり、捨てたりするのはOK、とありました。

Objective について、同様の説明はありません。

Key Result は変えてもいいが、Objective は変えてはいけない、と理解しました。

 

事例からの読み解き

以下は、P70に記載されたOKRの事例です。

まずは全社目標。

  

インテルの全社目標 | Objective

「8086」を業界最高性能の16ビット・マイクロプロセッサ・ファミリーにする。以下をその尺度とする

 

主要な結果 | Key Result (1980年第2四半期)

1 「8086」ファミリーの性能の優位性を示すベンチマークを5つ開発し、公表する(アプリケーション)

2 「8086」ファミリーの全製品をリリースし直す(マーケティング)

3 8MHz版の製造を開始する(技術、製造)

4 演算コプロセッサのサンプルを遅くとも6月15日までに制作する(技術)

 

次に部門目標。

技術部門の目標 | Objective (1980年第2四半期)

5月30日までに8MHz版を500個をCGWに届ける

 

主要な結果 | Key Result (1980年第2四半期)

1 4月5日までに最終図版をフォトプロットにする

2 4月9日までに「Rev2.3」マスクを向上に届ける

3 5月15日までにテストテープを完了する

4 遅くとも5月1日までに工場のレッドタグを開始する

 

1980年。。。

全社のOKRは、Key Resultが並列、部門のOKRはKey Resultが順列になっています。

全社は、Objectiveが達成されたという指標である一方、部門は中間成果=プロセス目標になっています。

この統一感がないところに制度・サンプルに対するモヤモヤを感じました。

ここはケースバイケースなのかなと。

 

本の中で、Objective が「What」だとすると、Key Result は「How」と説明されていました。

「How」と「計画」の違いを理解・説明するのが難しいなという感想です。

この枠組みの制度化・言語化が、何ともうまくいきません、自分の場合は。

むずかしい。

 

部門のObjective は上記で見たとおりの「中長期」な観点では設定されていないのも、ケースバイケースの例なんだと。

状況に応じて目標設計するしかないんだろうけど、ObjectiveとKey Resultの関係性を端的に説明できるガイドは必要だと再認識しました。

現時点では見えていません。

 

本を読み続けます。

 

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