人事制度を初めて導入する際の心構えについて考えてみました。
制度導入のタイミングでは、現場から様々なフィードバックが届きます。
人事制度の改善にとって貴重なフィードバックです。
ただし、その声を捌ききれないがゆえ、制度導入を例えば6ヶ月後ろにズラす案が出てくることがあります。
もちろん中身が全然ダメなら先送りは当然ですが、自分たちとして自信を持てる人事制度であれば、まずは導入しましょう。
先送りしてはいけません。
先送りしても状況は改善しない
どんなに制度をつくりこんでも、たくさんのフィードバックが届きます。
有益なフィードバックから、そうでないものまで。
イチ意見として受け取ることが大切です。
例えば、このようなフィードバックがあります。
- なぜ、等級は7つなのか。8つの方がいいのでは?
- どうして、報酬レンジが重複している?
- どうやって目標設定すればいいのか、わからない
- 自分は構わないが、個人の等級を公開することに反対している人がいる。自分は公開でも構わないが…
- 360評価は?
- なぜ、評価段階が7段階なのか。5段階で十分なのでは?
- 前職では、hogehoge
説明会やテスト評価など、事前に背景や設計の意図を説明したとしても、こういった意見がたくさん届きます。
一つ一つの意見に、丁寧かつ誠実に対応していきます。
ただし、人事制度に唯一の正解はないので、背景を説明して理解・納得してくれる人もいれば、そうでない人もいます。
こういう状況になると「もう少し説明の時間をつくった方がいいかも」、「マニュアルやガイドラインをもっと準備した方がいいのでは」という意見が出てきます。
しかし、元々決めたスケジュールを変えてはいけません。
まずはやってみましょう。
いくら準備に時間をつぎこんでも、フィードバックはなくなりません。
安定稼働するには、2年ほどかかる
人事制度を導入・運用したら、様々なフィードバックが届きます。
その都度、改善を施し、自分たちとして腹落ちできる品質になるまで、2年ほど見込んでおくとよいでしょう。
評価基準から報酬水準、微細な配点まで細部にこだわり、改善が加わっていきます。
準備のために先送りしても、この2年が短縮されることはありません。
先送りしたところから、2年ほどの期間が必要になります。
そして、人事制度は永遠のβ版といわれたりします。
カッコつけた単なる言い訳にも聞こえますが、本当にそうだと思います。
会社が成長すれば、制度改定が必要になるので。
だいたい安定稼働してきたな、というタイミングできちんと会社が成長していると、そこでマイナーチェンジ、もしくは急成長企業であればモデルチェンジします。
2年ほどの制度運用の知見・ノウハウ・テクニックがあると、マイナーチェンジ・モデルチェンジに深みが出ます。
導入を先送りしてしまうと、まだ導入して期間が短いのでマイナーチェンジ・モデルチェンジが見送られ、型落ちの人事制度を運用する事態に陥ります。
これは避けたいこと。
制度に対する不満・不信につながります。
2-3年後に「あのとき導入しておいて良かった」といえるか
一緒に制度設計した経営者と話していて、自分が嬉しいのは「あのとき、人事制度を導入しておいて本当に良かった」といってもらえること。
だいたい、制度導入から2-3年が過ぎた頃、ポロっと出てくる言葉です。
今の組織規模で制度を入れるのは複雑性が高く、いろんな意見が出てくる中で難易度高過ぎ。
メンタル的に、今のフェーズではやりきれない、といった思いもあるかもしれません。
自分自身も本当にそう思います。
現場のフィードバックは大事です。
でも、いきなり100人のフィードバックを受け取らないといけない状況だと、複雑性も難易度も高く、本質的な改善につながらないリスクがあります。
まずは20名ぐらいで制度を導入し、小規模なフィードバックを受け取りながら、ミニマムスタートする。
そして、徐々にフィードバックの総量が増えていくのが理想です。
自分たちが決めたスケジュールを先送りしてはいけません。
まずは実践。
運用してみて分かるフィードバックを大事にしましょう。