評価制度における成果評価と行動評価。
(参考:評価制度の構造と名称)
結果を評価する成果評価とプロセスを評価する行動評価です。
今回は、成果評価について説明します。
目標設定
成果評価は、目標設定型の評価です。
期初に、会社全体の目標、所属組織の目標を理解した上で、その目標達成に貢献する個人の目標を設定します。
目標のブレイクダウン、カスケードダウンなんて表現をしたり。
ただ、具体的な How が抜けがち。
あまり難しく考えず、まずは順番と説明。
経営陣が会社全体の目標をつくり、組織長へ説明。
次に、組織長が所属組織の目標(組織目標)を設定します。
組織目標を経営陣に説明し、承認が下りたら、全社に共有。
この際、できれば一日、少なくとも半日の全社会議(キックオフ)を実行し、全社目標と組織目標の理解活動を徹底します。
質疑応答や中長期の目標まで共有し、今の全社目標と組織目標の背景や位置づけの理解を促します。
このあとに、個人の目標設定へ移ります。
目標のブレイクダウンという結果の姿を表現するよりは、全社目標・組織目標の理解活動というプロセスを表現した方が、自分にはしっくりくるように感じます。
1on1と中間評価
期初の目標設定が終われば、早速実行フェーズへ。
評価者であるマネージャーは1on1を通じて、目標達成を支援します。
期中の1on1では、目標の変更を可とします。
変化の激しい状況では、期中に目標を決めきれないことが一般的です。
特に、スタートアップはこの傾向が顕著。
期初に決めたことは変更できないという硬直的な成果評価・目標設定は機能しません。
また評価期間の50%が過ぎたタイミングで実施する中間評価もマスト。
成果評価に対する評価者と被評価者の認識を擦り合わせ、評価の納得感を高めます。
もし、中間評価でお互いの評価にズレが生じていたら、原因について深堀り、評価期間終了時の期末評価でズレが起きないよう対策を考えます。
中間評価は最終評価ではないので、この時点でズレが起きていても、まだ修復可能(間に合います)。
期末評価
あらかじめ設計していた評価記号に基づき、各目標を評価します。
個別に達成度やアウトプットを判断し、評価記号を付与します。
自分が設計する成果評価の特徴は、このあとです。
各目標を評価した後、評価期間における成果(結果)に対して、総合的な評価を付与します。
これが成果評価として、最終的な個人評価となります。
この制度がつくられた背景について説明します。
期中に目標が追加・変更・削除されたり、目標の重要度やウエイトが日々変化して決めきれない状況で、目標それぞれに対する評価、もしくは達成度を合算・平均して算出する評価は、評価者の意向に沿った評価にならないことが、様々な会社における評価制度運用を通じて発見しました。
合成の誤謬です。
正しい評価をすることに捉われ、機械的な評価に徹すると評価に対する納得感がうまれず、細部にこだわり過ぎれば過ぎるほど、評価制度が形骸化します。
数値化にこだわり、意味のない指標をつくって計測に無駄な時間をつぎ込んだり、一般的な指標をとりあえず当て込んだり。
それよりも、期中の1on1を重視し、評価者と被評価者の対話・コミュニケーションに基づく信頼関係を基軸とした評価制度を目指すことをおすすめします。
定量化されていない定性的な目標でも構いません。日々の1on1で進捗を確認し、「今の状況なら評価は、satsifactory」と認識合わせをしておけば問題なし。
期末評価で、いきなり「これはalmost」と通知するから問題が起きます。
評価は、信頼関係なくして成立しません。