2つの記事を書く中で、メイン評価者の引継ぎを設計・運用できていないかも、と気がつきました。
現場で各自のやり方で引継ぎされているのだろう、と思いながらも、その内容に軽重はありそうです。
本来は、タレントマネジメントのシステムを運用し、人材情報が蓄積される仕組みを活用することでスムーズに引継ぐものですが、スタートアップではシステムを運用するリソースもコストも余裕がない状況。
できる範囲で、やるべきことを整理してメイン評価者に依頼をかけることになりそうです。
前任のメイン評価者、後任のメイン評価者、人事の観点で役割分担を考えてみました。
引継ぎドキュメント
前任のメイン評価者には、ドキュメントの準備をお願いしたいところ。
面談で口頭での引継ぎでは、右から左に流れそうです。
ただ「引継ぎお願いします。ドキュメントの準備お願いします。」だけだと「何書けばいいの?」とメイン評価者も困惑してしまいます。
そこで、次のようなタイトルを事前に準備するだけでも、メイン評価者の負担軽減や引継ぎ品質の標準化に繋がると考えます。
被評価者について、メイン評価者のコメントをお願いします。
1. 強み/弱み
2. 好きな仕事、得意な仕事
3. 嫌いな仕事、苦手な仕事
4. 本人が考えるキャリアプラン ※以下の観点含む
・組織ポジション、マネジメントへの興味関心
・部署移動や配置転換の意向
5. メイン評価者or会社が考えるキャリアプラン
6. 働き方の意向
7. 目標設定への意識(チャレンジング?コンサバ?)
8. 自己評価の傾向(高い?低い?傾向なし?)
9. 報酬への意識(自分から報酬について意見する?あまりしない?)
10.今後のプロモーション(昇格)の可能性と時期
11.チーム内でのポジション
12.社内人間関係(仲の良い社員 etc )
少し幅広めに出してみました。
後任のメイン評価者には、強いバイアスになり過ぎないよう取扱いについては人事から一言が必要です。
あくまでも前任のメイン評価者の意見であり、これに強く引っ張られる必要はありません、と。
また人事から見て、気になるコメント(これ、どういうこと?これって何を根拠にしている?など)があれば、前任のメイン評価者本人にヒアリングしておくことも良さそうです。
1on1への同席
後任のメイン評価者は、引継ぎドキュメントをきちんと読み、不明点があれば質問することはマスト。
その他に、前任のメイン評価者と被評価者で行っている1on1に同席することもおすすめします。
2on1ですね。
1on1の進め方はスクリプトで標準化できたとしても、話し方やテンション、雰囲気、時間の使い方は人それぞれ。
前任者を踏襲すべし、という意味ではありません。
どんな風に進めているのか、を自分自身で体験し、今後の1on1に活かせることを探すことに意味があると思います。
2on1を経験できていれば、初回の1on1の緊張もほぐれます。
細部へのこだわりかもしれませんが、やっておいて損はないかと。
人事情報の一覧化
人事でできることは、被評価者の人事情報を一覧化して、後任のメイン評価者に共有すること。
特に、等級・評価・報酬に関する履歴を一覧化できると、後任のメイン評価者は助かります。
過去分の評価シートを個別に確認するのは手間も時間もかかり、スルーされがち。
そもそもデータの置き場が分からない、閲覧権限がない、などメイン評価者が見ようとしても見れないこともあります。
評価だけでなく、報酬に関する情報も必要です。
過去からの昇給推移を見れると、現在の被評価者の報酬に対する意識を把握することにも役立ちします。
イレギュラーな昇給や降給があった場合、当時の背景情報を伝えておけると良いでしょう。
議事録があったとしても、この手の話は口頭での補足があるとニュアンスが伝わるものです。
こう考えると人材情報を正しく記録する習慣は、組織にとって重要だと改めて気づきます。
議事録の文化は、会社によって差が出やすいところ。
そもそも議事録を取る・取らないの習慣から、議事録の正確性・わかりやすさ、あとはアクセス性(保存方法)。
組織規模に応じて指数関数的に差が広がっていきそうです。
立派な組織能力である、という認識のもの、ドキュメント作成のルール化、文化醸成に取り組んでいきたいものです。