評価記号設計のポイント(事例あり)

皆さんの会社で、評価結果はどのような評価記号で伝えられるでしょうか?

評価記号とは「自分の評価が、最高評価?標準評価?最低評価?」が分かる記号のことです。

評価記号と呼んだり、評語、評価尺度、評価基準など、別の呼び方がされているかもしれません。

今回は、細部の話になりますが、評価記号の設計について考えます。

労政時報より、事例もピックアップしたので設計の参考にしていただければと。

これはNG

自分が過去に見てきた評価記号で「これだと評価が難しい(ってか無理。)」と思った印象的な評価記号は

10
9
8
7
6
5:標準
4
3
2
1

でした。

「5を標準(中心)として考える、最高は10、最低は1、以上。」といったメッセージでしょうか。

これだと5は擦り合う可能性があるにしても、8や3など評価者がつけた評価結果を説明することができません。

現場泣かせの評価制度は、形骸化していきます。

「こんな評価記号あるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、今回事例を探している中でも

S
A
B
C:±0
D
E

がありました。

これも説明責任を果たすことが難しい…

評価記号の事例集

労政時報から事例を引用します。

様々なバリエーションを見て、自社に取り込める要素がないか、振り返ってみるのもいいかと思います。

 

① ファイザー

◆総合評価記号
ER:Exceptional Results     比類なき成果・達成
SE:Significantly Exceeded  卓越した成果
EX:Exceeded                期待を上回る成果
CM:Consistently Met        期待通りの成果
PM:Partially Met           期待を部分的に下回る成果
DR:Deficient Results       期待に対して不十分な結果
SD:Significantly Deficient 著しく不十分な結果

労政時報 3955号(2018/07/27)より

 

② 日本板硝子

◆総合評価記号
S:Outstanding             非常に優れている
A:Exceeded Expectations   期待以上
B:Fully Expectations      期待通り
C:Improvement Needed      改善が求められる
D:Unsatisfactory          不満足
Not possible to determine  評価不可能

労政時報 3940号(2017/11/10)より

 

③ SAPジャパン

◆パフォーマンス評価	
Extraordinary	並外れた成果
Outstanding	傑出した成果
Successful	期待通りの成果
Progressing	発展途上
Insufficient	十分でない

◆ポテンシャル評価(成長の速さの期待値)	
Fast track	優先的に成長機会を与えていく
Accelerated	成長の加速を期待できる
Growth		通常の速さの成長が期待できる

労政時報 3925号(2017/02/24)より

 

④ 東京エレクトロン

◆MBO・コンピテンシーの評価記号
EE:Exceed Expectation		期待を超える
ME:Meet Expectation		期待どおり
PE:Partially Meet Expectation	期待にやや満たない
NI:Need Improvement		未達/要改善

労政時報 3956号(2018/08/10)より

 

⑤ 住友商事

◆職務遂行度評価、目標達成度評価	
O:Outstanding
E:Exceed
M:Meet expectation
P:Partially Meet expectation
U:Unsatisfactory

労政時報 4030号(2022/02/25)より

 

⑥ パナソニック

◆評価記号
5:当該等級において、期待される実績を大幅に上回る実績
4:当該等級において、期待される実績を上回る実績
3:当該等級において、期待される標準的な実績
2:当該等級において、期待される実績を下回る実績
1:当該等級において、期待される実績を大幅に下回る実績

労政時報 3920号(2016/11/25)より

 

⑦ 岐阜商工信用組合

◆評定基準
A:卓越した素晴らしい成果であった・本人に要求される能力をはるかに超えるレベルであった
B:優秀で申し分のない成果であった・本人に要求される能力を超えており、優秀で申し分ない
C:要求されている成果にはほぼ達した・本人に要求される能力にほぼ達している
D:不満足な結果であり、今後の課題を残した・本人に要求される能力には達しておらず、今後の課題を残している
E:期待される水準を全く下回り、相当問題がある・本人に要求される能力を全く下回り、相当問題がある

労政時報 3952号(2018/6/8)より

 

⑧ ライフネット生命

◆総合評価	
SS: 期待を著しく超えた
SS: 期待を超えた
A+: 期待をやや超えた
A+: 標準
B:  概ね期待に応えた
C:  多少期待に応えた

◆業績貢献度評価	
SS:業績貢献度が極めて大きい:担当業務に求められる期待役割を大幅に超える著しい業績貢献度
S :業績貢献度が大きい:担当業務に求められる期待役割を超える、大きな業績貢献度
A :標準:担当業務に求められる期待役割通りの業績貢献度
B :業績貢献度にやや課題あり:担当業務に求められる期待役割通りに対して概ね期待通りの業績貢献度
C :業績貢献度に課題あり:担当業務に求められる期待役割通りに対して多少応える程度の業績貢献度

◆成長度評価	
SS:成長差分が極めて大きい:当該評価対象期間を通じて目覚ましい成長を遂げた
S :成長差分が大きい:当該評価対象期間を通じて大きな成長を遂げた
A :成長差分が一定程度ある:当該評価対象期間を通じて一定程度の成長を遂げた
B :成長差分がゆるやか:当該評価対象期間を通じてゆるやかな成長を遂げた
C :成長差分が僅か:当該評価対象期間を通じては僅かに成長した

◆ビヘイビア	
S:全社規模となるレベル
A:全項目について十分なレベル
B:一部の項目について改善が必要
C:複数の項目について改善が必要

労政時報 4035号(2022/05/13)より

 

事例を整理して眺めるだけでも、自分としては様々な発見がありました。

記号を組み合わせるだけでも、自分たち流の評価記号が設計できそうです。

 

評価記号設計のポイント

最後に、評価記号を設計する際のポイントを4つまとめました。

(1) 差異性

評価記号の意味に「違い」を持たせます。

違いが不明確だと、評価者が説明できなくなります。

無理くり意味をつけても、評価に対する関心度は高いメンバーからの指摘が入ります。

無理せず、自然に違いを説明できるかどうか。

この基準で素直につくることが大切です。

(2) 意味の伝わりやすさ

難しい表現は使わず、分かりやすさを重視したいものです。

評価記号を伝えた際、その記号から意味が自然に伝わる状態をつくります。

運用の経験を重ねることで、この状態は出来上がってくるので、なるべく評価記号は刷新しないことをおすすめします。

もちろん課題を感じていたり、フィット感が無い場合は改善が必要ですが、幹は崩さないよう時間をかけて運用していくことで効果が上がってくると考えます。

(3) 使いやすさ

評価記号は、現場の評価運用で実際に使われるテキストです。

口頭での表現として言いやすいか、制度マニュアルや評価シートを見なくても覚えられるか。

毎日使うことはないかもしれませんが、ふと日常の中で使用する場面があった際、スッと出てくるワーディングにしたいものです。

(4) 感覚との一致

以前、「good」という評価記号を「期待通り」という意味で設計したケースで、クライアントから「good は、良くない場面だけどとりあえずやってくれたことへの労い・感謝の意味合いが強い」という意見をいただき、修正したことがありました。

他の評価者にはその感覚が無かったのですが、当人にとっては違和感があるということ。

こういう違和感は、評価者や組織によって変わりますので、意見を収集し、なるべく反映できるようにしたいものです。

他にも「satisfactory」を「期待通り」の意味としたケースで、ヨーロッパでは「satisfactory」は標準かそれ以下のニュアンスという意見もありました。

正しいのか、本当なのか、自分には分かりません。

ただ、現場で使う人の意見には、シンプルに対応したいものです。

もちろん全社員の声をすべて反映することはできないので、そこは切り分けが必要ですが、こうした感覚やニュアンスも意識しておいて損はないと思います。

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