評価制度の構造を、Vision・Mission・Value を使って考えています。
人事制度のメイン目的は報酬決定と定義していますが、サブ目的として方向付けや育成があります。
人事制度の構成要素である評価制度が、どのように方向付けに寄与しているのか、を考えることで、自然と評価制度の構造や名称が導かれます。
改めて、Vision・Mission・Value
釈迦に説法ですが、改めて、Vision・Mission・Value について。
端的に定義すると
- Vision:つくりたい世界
- Mission:果たすべき使命
- Value:価値観
です。
Vision とは、会社が事業を通じて「つくりたい世界」を言語化したもので、事業活動の結果を意味しています。
最近、話題の Purpose は、 Vision を別の角度で言い換えたものと考えています。
そして、Vision を実現するために会社がやること、これが「果たすべき使命」としての Mission。
Mission だけで、Vision も分かるケースもあります。
その場合、Vision がなく、Mission だけになっていることも。
最後に、Vision・Mission を実現するための考え方と基準が「価値観」、Value です。
論理的には、Mission が違えば Value は変わることになります。
逆の見方をすれば、Missionが似ている場合、Value も似てくるということです。
IT × スタートアップの業界は、基本的に IT の力で今までできなかったことをできるようにすることが根底にあるので、Vision・Mission・Value が似ているケースもあります。
評価制度の構造
Vision・Mission・Value を上記の通り定義すると、Mission と Value を振り返る仕組みが評価制度だと考えています。
Mission から導かれる「期待される成果」が「成果評価」として、Value から導かれる「成果を生み出す行動」が「行動評価」として評価されるイメージです。
こじつけ感は否めませんが、一般的に評価制度が2軸で構成されている状況に対して、自分なりに納得できるロジックがこれでした。
成果と行動の2軸があった場合、「成果は当然評価すべきと理解できるが、行動を評価する理由は?」と質問を受けることもあります。
主な理由は、行動評価が企業の長期的な成長に貢献するから、です。
企業が長期的に成長するためには、当たり前の話、成果を継続的に出すこと、つまり成果を出す再現性が必要です。
その再現性の強化に貢献するのが行動への評価です。
行動の結果として成果が出るわけで、原因にあたる行動を評価してフィードバックすることが、成果に繋がる行動の再現性を強化できるというわけです。
また成果は、外的環境の影響を強く受けることがあります。
個人や組織の実力・努力でつくった成果もあれば、実力・努力に関係なくつくられる成果もあります。
環境要因で成果を残せなかった場合でも、会社が正しいと認める行動を実行できていれば、ポジティブな評価を通じて行動を強化できます。
(どんな環境でも成果が求められる、長期も大事だが目先も短期だって大事、という期待値であれば、行動を評価する必要はありません)
評価制度の名称
最後に、評価制度の現実的な話を。
評価制度は、ワーディングとして日々の活動の中で最も使わるものです。
なので、評価制度の名称が大切になります。
各社、知恵を絞って決めていると思いますので、参考事例までにこれまで自分が関与した評価制度の名称を並べました。
【成果評価の名称例】
- ミッション評価
- Mission評価
- パフォーマンス評価
- ミッション達成度
- OKR
- 個人OKR
- Performance
- 実績評価
- 業績評価
- 目標達成度評価
- KPI評価
- ミッションレビュー
- Profit & KPI
【行動評価の名称例】
- バリュー評価
- Value評価
- 価値観行動評価
- 価値観マッチ
- Value
- ValueFit
- Contribution
- 能力評価
- プロセス評価
- 能力・姿勢評価
- 多面行動評価
- 発揮能力評価
- バリュー体現評価
名称を決める際、会社の「評価(評価制度)」に対する意識に違いが大きく出ます。
特に「~評価」というように「ひょうか」というワードを明確に使いたいケースと、「ひょうか」というワードを使いたくないケース。
「評価なんだから。。。」という気持ちと「なんか評価されるってね。。。」という気持ちが表れています。
こういうニュアンスが難しいところですね。