OKR について、よく聞く課題とその対策

OKR(Objective Key Result) を経営管理ツール、目標設定のフレームワークとしてが活用しているケースが多いと思います。

ざっくりといえば、100人の組織で100人全員が1つの同じ方向(目標)に向かっている状態をつくるのがOKR のねらいです。

全社員が「その目標を実現するために、自分がやること」を自律的且つ前向きに考えて実行できるように方向付け、動機づける仕組みです。

OKR を運用している会社では、課題が似ており、よく同じ話を聞きます。

その課題と対策について、メモしました。

OKRの概要

  • Objective Key Result の略
  • Objective は「目的」、意味は「目指す状態」
  • Key Result は「主な結果」、意味は「目指す状態を実現できたというために必要な結果」
  • Objective や Key Result は、「野心的」で簡単には達成できないレベル(水準)にする
  • Key Result は測定して振り返りができるように、なるべく定量化を心がける
  • Objectiveは1つ、Key Resultは3~5つに絞り込むこと
  • 1年間のOKRをつくり、四半期ごとにもOKRをつくる
  • 四半期ごとに振り返る
  • OKRを全社、部門、個人で連鎖させる(全社目標から部門目標をつくる、部門目標から個人目標をつくる)
  • 全社のKey Resultを部門のObjectiveに展開する
  • 個人OKRはボトムアップでつくる(目標の当事者である本人がモチベーション高く取り組めるために)
  • 人事評価や給与には反映させない
  • ざっと、こんな感じでしょうか。情報ソースによって若干内容が異なる部分もあるかと思いますが、このような考え方でOKRを運用している会社さんもあるかと思います。

会社によって多少異なる定義がされているかもしれませんが、だいたいこんなルールで設計・運用されているかと。

OKR 運用の課題

達成感を感じられない(つらい)

野心的な目標として、5~7割の達成で良しとする目標をつくった一方で、現場のメンバーから「達成感を感じられない」という声を受ける(もちろん会社からは5~7割で御の字だよ、と伝えているけど)。

四半期の振り返りが大変且つ難しい

OKRの設定に1ヶ月ほどかかってしまい、残りの2ヶ月で目標達成に向けて全力で動くも期間が短く感じてしまい、「これから」っていうタイミングで振り返りがまた来てしまう感覚になる

ボトムアップだと経営の期待に沿った目標が設定されない

本人にOKRを設定してもらっても「これはちょっと違うな」「もう少しこうしてほしい」が多くなってしまう。

レビューの時間も大変だし、本人も「じゃあ最初から決めてくださいよ」という気持ちになってしまう

セクショナリズムが強くなる

全社OKRのKey Resultを部門のObjectiveにすると、部門のやるべきことがその定量数字を追うことだけになってしまい(勘違いされてしまい)、目標は絞れる一方で、部門間の協力・連携が手薄になっているように感じる

給与に反映されないなら…

野心的な目標を精一杯頑張っても、人事評価とは関係なく、給与にも反映されない、という仕組みだと「モチベーションが上がらない」という声も。

課題への対策

こうした課題に対して工夫した点をまとめてみました。

「野心的」とは「非現実的」と「現実的」の中間と伝える

本人が「これ達成できないでしょ」と思う目標は、「目標設定」としては良くないと思っています。

高い目標(達成無理な目標)を掲げて思考の枠を取っ払うようなフレームワークで使うならストレッチ効果はあると思いますが、組織全体の経営管理ツールとして使うには少しねらいがズレてしまうことが課題です。

そこで「野心的」の意味を「非現実的」と「現実的」の中間に位置づけ、「難しいけど無理ではないレベル」で目標設定することも有りです。

「非現実的は、このレベル」「現実的は、このレベル」という上限と下限を議論する中で、本当にこれが非現実的なのか、これが現実的なのか、を関係者で擦り合わせることも副次的な効果となります。

全社の Key Result を部門の Objective にしない

どうしても定量的な Key Result が各部門の目標になってしまうと、その数字をつくるためだけの動きになりがち。

そこで部門の Objective をつくるにあたり、全社の Key Result ではなく、全社の Objective を部門の Objective に連鎖させる方がいいのでは? と考え、実践しました。

気付いたことは、こうやっても最終的に全社の Key Result が部門の Key Result に反映されるので、部門が全社の目標目線を維持できるという効果があるということ。

また『Measure What Matters』の中で紹介されている「水平的 OKR 」のように、全社の Objective と部門の Objective を全く同じ内容にする方法でも、全社の目標が部門へとしっかり落とし込めます。

振り返りの期間は、3ヶ月か6ヶ月で、自社に合わせて考える

盲目的に、3ヶ月(四半期)で振り返る必要はありません。

3ヶ月という比較的に短い期間の場合、目標が変わりやすいビジネス・組織・成長ステージ等の場合にフィットするけど、6ヶ月でも十分にフィットするケースも多くあります。

3ヶ月だとどうしても運用負荷が高くなり「大事なのは分かるけど回らない」という状況が、OKR の形骸化につながるリスクがあります。

A 部門は時間を割いてちゃんとやっているけど、B 部門は適当にやっている、とかは現場ではすぐにわかることで、やる気が落ちるので、この点は自社に合わせて取り入れることが大事です。

ボトムアップは原則論

基本的なスタンスは、個人 OKR はボトムアップでつくってもらうべきと考えます。

本人に当事者意識が強く芽生えて”やらされ感”がなくなるので、目標達成への粘りが違ってきます。

ただし、これは人材の質・レベルを踏まえて考えることも必要です。

自律的に課題を見つけて解決に動ける人材がほとんどの組織であれば、全社 OKR と部門 OKR に基づいて、ボトムアップで個人 OKR をつくってもらい、1on1の中でブラッシュアップしていくやり方が理想的です。

一方で、一定のマネジメントコストがかかるエントリークラスの人材が多い組織でボトムアップをやってしまうと収集がつかなくなる恐れがあります。

こういう場合は、マネジメントクラスが個人 OKR のガイドを示したり、たたき台をつくったり、一緒に考えるなどして運用にひと手間かける必要がありました。

人事評価・給与にも反映させる

頑張って成果を出せば、その分を評価して給与に反映してあげればいいと素直に思います。

参考:「OKRを、どうやって評価する?

評価や給与に反映させない理由もありますが、社員の立場で考えてもあまり納得感がないように感じます。

お金が内発的な動機付けにネガティブに反応するという過去の研究もありますが、スタートアップにいる社員は、ビジョン・ミッション・バリューへの共感、ビジネスや自分の成長可能性に夢を抱いてジョインしてくれる方々なので、基本的にお金の部分であってもしっかりと報いてあげたいと思うし、本人たちもそれは期待して当然です。

「 OKR を全力でやっていこう」「ちゃんと評価して給与にも反映させます」の方がスタートアップらしいし、こうやって給与に反映させることで重大な副作用が出ているケースも今のところはありません。

ただ、この状態をつくるためには、日々の1on1で認識の擦り合わせをすることが不可欠なので、ここができない場合は評価・給与から切り離してた方が賢明かもしれません。

理解活動がとにかく大事

つくって終わり、の OKR は確実に形骸化します。振り返りがすべてです。

しっかり運用しようとすると、重い制度になります。

簡単な、軽い制度ではありません。

日々モニターしていく仕組みを、担当者や会議体等を通じて運用していくことが求められます。

また全社 OKR や部門 OKR を説明・共有するセッションも非常に大事。

「こういうOKRでいくよ」だけではなく、前期の振り返りや現状の課題、今後の理想、なぜ今期はこれに集中するのか、どうしてこっちはいったん Key Result から外すのか、をしっかりと経営陣が語り、その”強い思い”が OKR に反映されていなければ、メンバーに腹落ちさせることはできません。

メンバーからもセッションの中で色々と質問が飛び交い、その過程で経営陣とメンバーの理解もより深まっていきます。

こうしたキックオフセッションは1日ぐらいかけてやっていくぐらいがちょうどいいですね、節目にもなります。

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