提供価値の理想と現実

独立からもうすぐ8年。

提供価値には、表と裏があると学びました。

自分は運よく裏の価値を提供する機会に恵まれ、独立を継続できています。

もし最初から表にこだわり、アプローチを続けていたら、食べていくことは難しかったと思います。

その表と裏、言い換えると提供価値の「理想」と「現実」です。

提供価値の理想

コンサルタントとして、提供価値の理想を考えると「大きな仕事」が思い浮かびます。

上流の戦略から関わり、Big Picture を描いて、 Something New を提供するイメージ。

その価値に応じた Fee を頂くので、時間無制限で仕事(価値)に向き合います。

もちろんコンプライアンスは NG なのですが、提供価値を考えると通常の何倍もの時間と労力が必要です。

自分も、こういう世界で経験を積んできました。

しかし、この経験の延長で、独立後も価値提供しようとすると、顧客のニーズと乖離が生じていたと思います。

提供価値の現実

自分の場合、顧客はスタートアップ、ニーズは人事制度、その本質は仕事に集中できる環境をつくること。

Something New な制度設計ではなく、Theory に基づく制度設計。

何よりもスピードが求められます。

人事制度は不可逆性が強く、特に大企業では「強く」ではなく、不可逆です。

数年単位で制度改定を企画し、石橋を叩きすぎて壊れるくらい慎重に進めます。

影響度が大きいため、当然の進め方です。

自分が関わるスタートアップは、だいたい二桁規模組織の制度設計。

スピード重視で制度を導入し、成長や課題に応じて都度改善していきます。

制度導入から3年ぐらいは、半年ごとに改善されていきます。

人事でありながら、最大限リーンに進めるというニーズと特徴があります。

これを見誤れば仕事になりません。

また、Big Picture についても大きな絵を描くことは必要ですが、スタートアップにとっては少し先のフェーズです。

まずは「神は細部に宿る」というマインドセットで運用実務を回す必要があります。

そして、スタートアップには運用のリソース・ノウハウが足りません。

外部のコンサルタントでありながら、ここまでサポートします。

これをやり切ることが、信頼に繋がります。

理想の提供価値が求められ始める

独立して8年。

一番変化したことは何か。

クライアントの成長です。

裏の提供価値である現実的なニーズは、社内のリソースで回す体制が構築されてきます。

すると、同時に表面化してくる表の提供価値について相談される機会が増えます。

複雑化した組織や人事を、より良くしていくための戦略づくりや既存の人事制度の大規模改修、これまでスコープになかった人材育成領域など、様々なテーマが湧き起こってきます。

このタイミングで領域を広げるか、絞ってさらに極めるか、は個人の好みに感じます。

自分は少しずつ広げながら、スタートアップの第2成長フェーズにおける組織人事に貢献していきたいと考えています。

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