人事制度の設計・導入プロジェクト

人事制度の設計・導入プロジェクトを提案する際、スケジュールとアジェンダ(アウトプット)を擦り合わせます。

自分のクライアントはスタートアップなので、どんなケースでも「なるはやで導入したい」という気持ちです。

自分もその気持ちに応えるべく、制度設計のアウトプットを標準化して、設計期間を短縮化してきました。

「どれくらい時間がかかる?」「どんなアウトプット?」についてイメージを共有できるように、まとめてみました。

 

スケジュール

だいたい制度設計に4-6ヶ月、トライアル運用に6ヶ月を予定しています。

つまり、本番運用までに10-12ヶ月かかっています。

 

事業年度に合わせる形で、設計期間に4-6ヶ月という3ヶ月の幅があります。

例えば、期が1月からスタートする場合、プロジェクトを9月から開始できれば4ヶ月の設計期間を経て、1月に導入します。

制度設計の一部は、導入後に先送りします。

一方、プロジェクトを7月から開始できれば6ヶ月を設計期間にあてて、1月に導入します。

ミニマムでも設計期間は、4ヶ月程度です。

 

トライアル運用と本番運用

ここでいう「導入」とは、「本番導入」でなく、「トライアル導入」を意味します。

本番運用もトライアル運用も同じ形式で進めますが、トライアル運用は「まずやってみる」のスタンスで運用を開始し、やりながら制度をタイムリーにチューニングしていきます。

初めて評価制度を運用して「配点の感覚がズレていた」ということが分かれば、その場で柔軟に制度変更(ルール変更)していきます。

状況に応じて変えることを前提に進めます。

評価基準を微修正したり、等級要件を追加したり、報酬決定をイレギュラーに対応したり、など。

 

基本的に、社員にとってメリットある変更になります。逆にデメリットな変更であれば翌期以降に反映させます。

本番運用に入ったら、制度をチューニングするにしても、その場で変更することはせず、きちんと社員に説明し、翌期の運用から変更していきます。

そして極力、イレギュラー対応もしません。

報酬は評価と昇給テーブルに応じて、機械的に対応します。

 

プロジェクト体制

20名程度の組織規模でプロジェクトを開始するケースで考えてみます。

週1回(90-120分)の人事定例Mtgでプロジェクトを推進します。

 

自分の場合、テック系のスタートアップがクライアントなので、CEOとCTOは参加。COOやCFOがこの時点でジョインしていれば参加。あとは、採用担当の方です。

 

この時点で、採用ではなく人事担当がいるケースは稀です。

設計フェーズでは、現場のマネージャー、例えばセールスマネージャーやCSマネージャーが人事定例Mtgに参加ことは、ほぼありません。本業が忙しいので。

 

ただし設計フェーズ後の運用フェーズに入ると、マネージャーが参加することが多いです。

 

アジェンダ

「4-6ヶ月もかけて何をつくるの?」という心の声が聞こえます。

「モノ」ではなく「制度」をつくるため、具体的なイメージを持ちにくい特徴があると思います。最終的には、スライドでつくられる「設計書」がアウトプットの核になります。

 

人事制度の3つの柱である等級制度、評価制度、報酬制度について、具体的に議論する内容を一覧化してみました。あと、等級・評価・報酬以外で検討テーマとなる「その他」も。

等級制度

・等級体系
・等級要件
・職種別等級要件
・昇格ルール
 (昇格候補者含む)
・降格ルール
・役職任用
・仮等級(入社時等級)
・昇格レポート
・既存社員の等級決定
・等級公開
・等級会議運営

評価制度

・評価体系
・ミッション評価
 (成果評価)
・バリュー評価
 (行動評価)
・評価基準
・評価尺度
・評価期間
・評価者
・評価シート
・最終評価ロジック
・目標ガイドライン
・目標レビュー
・テスト評価
・評価会議運営
・評価者研修
・評価システム
・オペレーション設計

報酬制度

・報酬項目
・報酬レンジ
・昇降給テーブル
・特別昇給ルール
・インセンティブ
・賞与
・調整給
・モデル年収
・処遇条件通知書
・シミュレーション
・報酬会議運営

その他

・人事制度説明会準備(資料・QA等)
・1on1
・試用期間
・組織図
・就業規則
・組織サーベイ
・360フィードバック
・マネージャー研修(外部サービス活用)
・情報公開ガイドライン
 

人事制度は、ある程度標準化できているので、あとは中身をクライアントのビジネス、戦略、組織、カルチャー等に合わせてカスタマイズしていきます。

 

自社のオリジナルを存分に反映させた方が良いところもあれば、あまり拘らずにセオリー重視でやった方が良いところもあるので、導入スケジュールを考えながら、こちらでプロジェクトマネジメントしています。

 

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