初めて評価する人が抱く不安を少しでも解消できるよう、評価者向けに研修を実施します。
人事制度の構造を理解し、自社の制度を正しく運用できるようにします。
合わせて、評価のコツについても解説します。ここでは、自社の評価制度の理解ではなく、汎用的な評価の話です。
情報量を多くしても、初めて評価する人は捌ききれません。実践できるコツを提供しましょう。
期初、期中、期末の時間軸に沿ってまとめました。
【期初】まず評価してみる
期末に評価する、ではなく、期初に評価する、です。
期初にまず評価してみることの効果は、評価することでフィードバックするポイントと今見えていないことの把握です。
期末の評価だけだと「これ先にフィードバックしておいた方がよかった」や「この評価基準って、どういう意味なんだろう」が起きます。期末に対応するには手遅れです。
期初に評価して、早めにフィードバックしておけば改善を促すことができます。もし改善が進まない場合は再度フィードバック、それでもダメなら評価結果としてNGをフィードバックする流れになります。
評価基準についても、意味が分からないことがあれば、上長に意味を聞いたり、被評価者の行動に読み替えたりすることができます。
特に、この読み替えは職種別の評価基準が整備されていない場合に有効です。評価基準にバリューが活用されているケースでは、この読み替え作業が評価者と被評価者の双方のバリュー浸透に貢献するため、おすすめです。
【期中】メモする(記録する)
形式は問いません。気づいた点をメモする。そして、都度フィードバックする。これが評価者の役目です。
期末に評価を(ゼロから)つくることは困難です。期中に貯めた記録を、まとめるのが評価です。
そのための記録をメモとして残しておくと、評価者の自信と被評価者の納得感に繋がります。
また被評価者のメモを一覧化すると「この人(被評価者)の記録が少ないかも」という気づきを得ることができます。コミュニケーションやフィードバックの偏りが起きていることに客観的に気づく仕掛けとしても機能します。
メモを取り始めるところさえ、習慣化してしまえば、それほど負担のかかることではありません。「いつ」「どのツールで」を決めて、習慣化してしまいましょう。
【期末】2つの評価バイアスに注意する
巷には、たくさんの評価エラーに関する情報があります。寛大化傾向、中心化傾向、ハロー効果など。
たくさんの情報を知っていても本番の評価で活用できなければ意味がありません。使える知識として、自分はこの2つの評価バイアスを意識してもらうのが良いと考えています。
また評価エラーというよりは、評価する際、無意識的にバイアスがかかってしまうことを避けたいので「評価バイアス」と呼んでいます。
①ピークエンド
その名の通り、ピークとエンドに引っ張られないようにします。特に「評価期末」の「目立った」成果(または失敗)に捉われて、評価が全体的に高く(または低く)なってしまうことに注意します。
②セルフスタンダード
評価基準ではなく、評価者自身と比較して評価してしまうことがないように注意します。
評価をつける際、「自分の5年目のときは、~」などと過去の自分との相対評価で無意識的に評価することを意識的に避けるようにします。
特に「若くて優秀」と呼ばれる評判の高い被評価者は、「あの年齢でスゴイよね」「自分が2年目のときなんて、」といった評価基準をモノサシとしない評価・フィードバックが起きがちです。評価基準に「年齢」に関する内容があれば話は別ですが、おそらく無いですよね。
意識するだけで防げるバイアスなので、かからないようにしましょう。
評価者トレーニングは段階的に
評価者トレーニングを研修として整備する際、色々なコンテンツを教えたくなる気持ちが出てきます。結果、半日コースで評価者研修をやったりすることも。
ただし、評価ってそんなに面白いもの・楽しいものでもないと思います。避けて通ることができるなら避けたい、でもマネージャーの役目であり、主要な責任であります。will に関係なく must な役割です。
なので、こうしたトレーニングはなるべくコンパクトにまとめて、必要な情報を必要なタイミングで提供し、「役立ちそう」と感じてもらうことが大切だと思います。馬の耳に念仏にならないよう注意が必要です。
初めて評価者になった人に提供するコンテンツとして、上記をQ&A含めて1時間でレクチャすることをおすすめします。サクッと進めましょう。
そして実際の評価に入ったタイミングや期中の1on1が少し進んだタイミングで、トレーニングを追加していきます。
評価者が、実践を通じて感じる課題・違和感・悩み・質問に答える内容が、トレーニングとして段階的に提供されるのが理想的だと考えます。