給与改定の対象者に「処遇条件通知書」を配布することをおすすめしています。
給与を正確に伝えるためのツールであり、制度・運用に対する信頼をつくるプロセスでもあると考えます。
給与改定の見える化
処遇条件通知書とは、給与改定前と給与改定後の情報(主に報酬と内訳)を記載した個人別のドキュメントです。
▼処遇条件通知書のサンプル (評価昇給の場合)
※わかりやすくするため「基本給+時間外手当」で表示しました
左の「人事評価」で直近の評価を、右の「評価」で評価に基づく昇給額を把握できるようにします。
▼処遇条件通知書のサンプル (2等級から3等級に昇格した場合)
右の「昇格/降格」で、昇格に応じて昇給した金額を把握できるようにします。
▼処遇条件通知書のサンプル (特別調整を実施した場合)
「特別調整」は、評価や等級のルールに基づかず、自社に採用状況や事業フェーズに応じて報酬を調整することを意味します。全社員が対象ではなく、特別措置のため、対象者のみに記載して通知します。
期待する効果は?
処遇条件通知書によって、給与改定前の給与、給与改定後の給与と昇給の内訳を正確に把握できます。
新旧の違いとその違いの理由(昇給の内訳)を把握できるのが、給与明細との違いです。
さらに、人事制度(ルール)に基づいてフェアに給与を決めていることを伝えることができます。このプロセスこそ本質的な効果であり、人事制度に対する信頼性を高めることに役立っていると考えます。
また、昇給に対する期待値コントロールも期待する効果の1つです。特に昇格した場合、評価昇給と昇格昇給の2つの昇給が実施されます。内訳を正確に伝えることで、昇格したことによる昇給額を把握できます。この内訳が曖昧なままだと、次回も同じ昇給額を期待してしまい、「あれ、前回に比べて全然昇給していないな」といった感想に繋がってしまうことがあります。
オペレーションは負担あり
数字のミスが許されず、個人別の対応のため、処遇条件通知書の作成から配布までのオペレーションはそれなりの負担があります。
過去のケースだと以下の方法がありました。
- 印刷して紙で、メイン評価者から被評価者に配布・説明する
- PDF で、メイン評価者から被評価者に、個人フォルダ経由で配布・説明する
- PDF で、メイン評価者から被評価者に、Slack の DM で配布・説明する
- 人事システムで、被評価者に配布、メイン評価者が説明する
負担が大きいゆえ、昇格昇給や特別調整、調整給の対象者だけに絞るやり方に変更したケースもあります。その他は、評価結果と昇給テーブルに基づいて昇給しているので省略しました。
人事チームのリソースや人事システムなど、各社の状況に応じてオペレーションは設計することになります。