総合評価の決定方法

評価制度の型であるプロセス評価と成果評価。それぞれの個別評価を、1つにまとめた評価を総合評価と定義します。以下は、プロセス評価と成果評価の参考記事です。

総合評価の分かりやすいイメージは「SABCD」です。「+」の記号を追加して「S+」や「A+」として評価を細かく刻むこともであります。総合評価によって個人の最終評価を、シンプルに表示できるようになります。

また、評価と給与改定を接続する「昇給テーブル」を設計する際、総合評価が活用されます。

S評価:~円 または ~% の昇給
A評価:~円 または ~% の昇給
B評価:~円 または ~% の昇給
C評価:昇給なし
D評価:~円 または ~% の降給

(昇給に関する記事はこちら:評価昇給ってどうやる?)

総合評価を決定する方法(2パターン)と、そもそも総合評価をつけずに評価と給与改定を接続する方法を説明します。

【A】一律、成果重視のパターン

全社員一律で、成果(成果評価)を重視する場合、評価点の設計で対応する方法があります。

例えば、成果評価の最高点を200点、プロセス評価の最高点を100点、合計を300点とします。この300点をSABCDに変換します。250~300点をS、200~249点をA、などと変換テーブルを決めます。

変換テーブルを設計し、運用の中で検証する必要はありますが、シンプルな方法です。

成果重視の方針が人事制度に反映されており、全社員に分かりやすくメッセージングできます。

【B】上位等級は、成果重視のパターン

Aパターンの場合、「等級が高い人ほど、成果を重視したい」「バリューが反映されるプロセスを重視していないように見せたくない」「等級が高い人は、プロセスはできて当然だからスコアが高止まりする。一律でやると上位等級の評価がインフレしがち」との意見が出ることもあります。

対応策は、等級別係数の活用です。

まず、成果評価とプロセス評価の最高点を同じにします。例えば、どちらも最高点は200点。それぞれの評価に等級別に設定された係数を掛け算します。

1等級は「プロセス×0.6、成果×0.4」、2等級は「プロセス×0.5、成果×0.5」、3等級は「プロセス×0.4、成果×0.6」といった具合に、等級が上がるほど成果が重視されます。

あとは、Aパターンと同じくSABCDへの変換テーブルを作成して、完了です。

【C】そもそも総合評価をつけないパターン

SABCDといった総合評価をつけず、評価と給与改定をダイレクトに接続させる方法もあります。

単純に、成果評価とプロセス評価のそれぞれの評価結果に、昇給額 or 昇給率を紐づけて給与改定を実施します。例えば、成果評価が「excellent」だったら「~円の昇給 or ~%の昇給」となります。

総合評価をつける方法との違いは、「幅」です。総合評価は、SABCDへの変換テーブルの中に「幅」があります。例えば、250~300点を S とした場合、250点でも S だし、300点でも S になります。これが「幅」の意味です。

この「幅」に違和感を感じる場合(納得しにくい・説明しにくい、分かりにくい、等)、総合評価をつけず、ダイレクトに反映させることがあります。

総合評価を決定するテーブルや等級別係数がなく、シンプルで分かりやすい一方で、評価をつける際、昇給が気になってしまい、評価に集中しにくい、と感じるケースもあります。

どのパターンも運用事例あり

自分の中で「これ!」といったおすすめを決めきれていません。3つのパターンにそれぞれ特徴があり、議論を通じて決めています。

導入時はAパターン、運用の過程でBパターンに変わるケースはありましたが、Aのままでいくケースもあります。一方、AパターンまたはBパターンから、Cパターンに変わるケースは今までありませんでした(逆も然り)。

この点を踏まえると、そもそも「総合評価をつける・つけない」が議論のスタートになりそうです。

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