評価調整会議やキャリブレーションと呼ばれたりもします。
評価会議の目的と進め方について、まとめました。
目的は3つ
- 最終評価を決定すること
- メイン評価者の(評価の)目線を揃えること
- 人材情報を共有すること
この3つを評価会議の目的と定義しました。
1. 最終評価を決定すること
一定期間(例えば6ヶ月)の最終評価を決める場が評価会議です。
全評価対象者の評価結果を横並びで、全メイン評価者が確認して各自の評価を決定します。
経験上、評価会議で評価が変わることは稀ですが、参加者の意見で調整されることがあります。評価を上げる(評価が良くなる)ケースがほとんどです。
2. メイン評価者の(評価の)目線を揃えること
最高評価・標準評価・最低評価の理由を、バイネームで確認して評価の妥当性を共有・議論します。この過程で、メイン評価者が評価基準の理解を深めていきます。
この議論で出てきたワーディングは、評価決定のガイドラインとして活用できます。評価決定のガイドラインを言語化しようとすると難しいですが、評価会議内の自然な流れを使うと、うまく言語化できることがあります。
3. 人材情報を共有すること
評価の背景や理由を共有する過程で、自社の高く評価(活躍)している人材や改善が必要な人材をバイネームで知ることができます。
他部署の状況が見えにくくなる組織拡張のフェーズでは、こうした人材情報が日ごろの仕事や組織間連携に役立ちます。目的意識が薄いと「自分に関係ない人の評価の話を聞いても退屈」「他部署の評価を聞いてもよくわからない」との声が出ます。
評価会議の冒頭で、目的を共有し、全員が同じ意識で会議体に臨めるようにすることをおすすめします。
評価会議の進め方
50名程度の組織で評価会議を実施する際の進め方(アジェンダ)の例です。
上記の目的を擦り合わせてから進めます。
(1) 全体傾向
評価結果の分布状況を確認します。
例えば「高評価が20%、標準評価が70%、低評価が10%」のように、全体の分布を把握します。前回や前年との比較を通じて、変化がある場合はその理由を議論します。理由が思いつかない場合、単なる評価の甘辛が発生している可能性があります。
全社の次に部署別の分布も確認します。前回や前年、あと部署間で比較します。部署(≒職種)の特性に応じて、評価のボラティリティが違うため、部署によって差が出やすい・出にくいといった違いがあります。
(2) 評価サプライズ
自己評価とメイン評価の差を確認します。
サプライズ表を作成すると便利です。
縦軸に自己評価、横軸にメイン評価を設定して、マトリクスの中にバイネームを当てはめます。自己評価とメイン評価が合致している場合、正比例になります。「自己評価が高い×メイン評価が低い場合」は左上のゾーン、「自己評価が低い×メイン評価が高い場合」は右下のゾーンに位置づきます。
自己評価とメイン評価で2段階以上の差があった場合、その原因と対策を議論します。特に左上のゾーン(自己評価が高い)でサプライズが起きている場合、評価のフィードバック方法もあわせて議論します。
(3) 個人結果
最後に、個人別に評価結果を確認、擦り合わせします。
一人ひとりの評価シートを見ながら、メイン評価者が評価の理由を説明します。評価が高い順に説明する、または等級別・役職別に説明する、などの進め方があります。
個人結果の確認には、時間がかかります。一人あたり3分としても、50名で150分(2時間30分)。休憩も考慮すれば約3時間程度はかかります。(1)全体傾向 や (2)評価サプライズ も含めると4時間弱かかり、午後半日を使うイメージです。
この時間に対する考え方は、会社によって変わります。「評価は大事。だから時間も労力もかけるべき」という意見もあれば「大事なのでは分かるけど、忙しいし、もう少し効率的にやりたい」、「評価に時間かけても、しょうがないでしょ」という意見もあります。
各社の価値観や事情に合わせて決める案件です。
被評価者(人数)が増えたら、部門評価会議へ
全社単位で評価会議を実施することが難しくなってきた場合、全社評価会議の前に部門評価会議を実施します。
最終評価の決定は、全社評価会議です。部門内で評価を擦り合わせ、必要に応じて調整します。その結果を全社評価会議で共有の上、承認のフローとなります。
全社評価会議も時間が足りなくなるため、(3)個人結果 を全社員から「高評価者、低評価者、標準評価者の中から気になる人」といった形に変わることもあります。