人事評価の成否は、評価基準より評価プロセスで決まる

人事評価の肝は、評価基準ではなく、評価プロセスにあります。

 

等級判定のプロセス

新人事制度の導入過程の1つに「仮等級判定」があります。

新しい等級要件で新等級を個人別に決定する過程です。

等級要件を検証しながら、個人別の新等級に納得感、信頼性、妥当性があるのか、を確認していきます。

このとき、評価者の方々に等級要件を理解していただけるか、が成否を分けます。

実際に新しい等級要件を使って配下のメンバーを評価(等級判定)してもらうことが、理解には最も効果的です。

 

ここで勘所が1つあります。

時間も手間もかかりますが、まずはその評価者の方々に対する等級判定を行い、フィードバックすること。

つまり、自分自身に対する等級判定とフィードバックを通じて、等級要件と上長の認識を理解することです。

 

まず社長が第1階層の評価者(本部長や部長など)の等級判定を行い、人事担当役員と評価調整を行う。

次に、社長が第1階層の評価者へフィードバックする。

この過程で、必要に応じて等級要件のアップデートを行います。

第1階層の評価者の納得・理解を見極めながら、等級要件を使って見極めたポイントをフィードバックしていきます。

このプロセスが完了したら、次は第1階層の評価者が第2階層の評価者(部長や課長など)の等級判定に進む。

今度は、第1階層の評価者が集まり、評価調整を行い、各自の等級判定の結果を確定すると同時に、ここでも等級要件について検証します。

細かい修正も含めて等級要件を更新していき、自社オリジナルの等級要件へと進化させていきます。

この作業を繰り返しながら、組織階層の下に位置づくメンバー階層まで等級判定を進めます。

 

通常1ヶ月弱で終わるスケジュールは、2ヶ月はかかるでしょう。

より丁寧に進める場合、3ヶ月弱かかるかもしれません。

この「目線を揃える」プロセスを踏むことで、人事制度の根幹である等級制度に息を吹き込むことができます。

手をかければその分、効果となって返ってきます。

 

人事評価のプロセス

話は変わり、人事評価のプロセスです。

多くの会社を見てきましたが、人事評価のプロセスの標準は以下の通りです。

 

  1. 評価期間の終了前後で一斉に自己評価を開始
  2. 自己評価期間の後、上長による評価を開始
  3. 各部門・階層での評価会議・分科会を通じて、評価調整を実施
  4. 最後に全社評価会議を行い、全社員の評価を決定

 

だいぶ省略して書きましたが、大枠はこの流れで進み、デイリーベースで管理していきます。

評価(振り返り)を踏まえた翌期の目標設定、報酬改定に向けて人事から労務への接続から、期限を盾に組織が動いていきます。

 

この人事評価のプロセス、多くの会社がボトムアップで進みます。

まず初めにメンバークラスの評価調整、次にマネージャーの評価調整、最後に経営層の評価へと。

最後の経営層や経営チームの評価は、曖昧なまま経営層の中だけでクローズに進んだり、そもそも評価が動いていないケースもあります。

 

上記の等級判定のプロセスとは、真逆のボトムアップスタイル。

組織管理者である評価者が、自分自身の評価を把握することなく、配下のメンバーを評価していく構造には問題があります。

基本的に、自己評価は高くなります。

評価をフィードバックされて、色々と気づくことがあり、自己評価が落ち着いていきます。

この過程がないまま、組織内の評価を進めると評価者の目線が歪んだまま、評価が入ってしまう。

 

しかし、評価を決めなければならない期限があります。

悠長にプロセスを踏んで評価を進めることもできない事情もある。

悩ましい問題です。

 

できるところからやる

すべてを理想の状態にすることは一朝一夕にはできません。

できるところから順番を踏んでやっていきましょう。

 

まず、トップマネジメントチームである経営層の評価。

ここがそもそも動いていない、透明性がない、という場合は改善します。

期待値の擦り合わせ、文書化、関係者への共有など、通常の人事評価・目標設定の形に近づけます。

経営だから各自で自主的に、という甘えは抜きにして、役割と責任は文書化しておきましょう。

 

事業フェーズが進み、組織規模が大きくなるとある程度役割も固定化しておきます。

経営層に近いほど、評価は年1回のサイクルで十分です。

社員の評価期間が6ヶ月だったとしても経営層は1年間(12ヶ月)として、可能な限り期末の前から前倒しで評価を進めていきます。

1年が締まらなくても、人事評価は可能です。

そして、本人の振り返りと上長である経営からの評価をフィードバックして、組織の認識を擦り合わせていきます。

この1ステップが入ることで、自己評価に対するバイアスを是正することができるでしょう。

階層に関係なく、バイアスはかかるものです。

 

メンバークラスの自己評価を走らせると同時に評価者への評価とフィードバックは可能な範囲で先に実施します。

トップダウンの評価認識を組織に浸透させていくプロセスを先に実行していきます。

 

ここまで読んで気づく方も当然いると思います。

期末に時期に慌てて認識を揃えに行くことは後手に回っていると。

その通りです。

 

なので、期中のリアルタイムフィードバックや中間評価を活用して、認識を揃えておくことが最重要です。

しかし、わかっていても動けないのが人間だということも、自分はわかっています。

期中対応の打ち手はもちろんやるべきですが、ここで担保するのは現実的に難しい。

だから、期末の評価でもプロセスで手を打っておくことが必要です。

 

一度、自社の評価プロセスとスケジュールを点検し、無理だと思っていた進め方を大胆に変えてみるのも一手です。

人事は進行責任を負っているので、リスクは取りたくない気持ちです。

だからこそ、差がつく部分でもあります。

 

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