採用時の等級判定を、入社後の等級判定と同じ気持ちで実施することが大事

スタートアップの中途採用現場で、絶対にミスできないのが「等級判定」です。

4等級でオファーしたけど、実際に働いてみたら3等級かも、は絶対に避けなければなりません。

5等級オファーが実は4等級だったかも、はもっと避けたい事象です。

 

入社後の等級判定

入社してから一定期間、例えば2-3年ほど在籍しているメンバーに対して、昇格という等級判定を実施する際、皆さん慎重かつ丁寧に進めます。

昇格の条件を設定し、日々フィードバックしながら、成長を後押してして昇格を見極めます。

 

思った通りの成果を残し、能力やリーダーシップを発揮し、周囲から信頼も得ることで昇格を確実にしているケースも有れば、思った以上に成果が出ず、このままではまずいかも、と心配しながら、期待値調整しているマネージャーもいるかもしれません。

 

昇格は、メンバー本人にとっても、マネージャーにとっても、会社にとっても重大な人事イベントです。

マネージャーは、その責任を痛感しながら、意思決定を繰り返し、人材育成の1領域を学んでいきます。

 

慎重に、無理をせず、関係者の期待値を揃えながら、足場を固めていきます。

昇格候補の仕組みがあれば、6ヶ月という期間をかけて見極めを進めていきます。

 

入社時の等級判定

明らかに少ない情報で等級判定を進めなければなりません。

そこに本人の希望・アピールが強く反映されます。

さらに、採用における競合他社の存在も。

 

ここで、もしお断りを受けたら次、この候補者に出会えるのはいつだろうか、と心配性な自分なら感じてしまいます。

 

あの会社でここまでできるなら、たしかにこれぐらいできそう。

部長経験があるなら、うちでもできるはず。

この報酬水準なら、この等級レベルにありそう。

面接時の印象だと、この部分が強みで、十分に自社でもやっていけそう。

とにかく採用したい。

 

慎重に進めているようで、バイアスがちらほらあります。

「とにかく採用したい。」

この言葉に尽きます。

 

情報が少ない中、見えない部分をポジティブに正当化してしまうことは避けなければいけません。

見えないところを「エイヤー」でポジティブに決めると、失敗するリスクがあります。

「リスクは取らないと・・・」と、安易に正当化することも、よくありません。

見えていないところを分析し、可能な範囲で情報収集する必要があります。

 

ここの意思決定スピードが速いことを自負することは、あまり深く思考していないことを意味しているケースもあるので、注意が必要です。

 

「迷ったら下の等級で」オファーする

保守的に思われるかもしれませんが、「迷ったら下の等級で」オファーします。

なお、これは「等級で迷ったら」という話であり、そもそも「採用で迷ったら」、採用はやめましょう。

当然です。

 

下の等級でオファーすることで、報酬水準が低くなることが想定されます。

サインアップボーナス(サインオンボーナス)の一時金で対応します。

 

以前は固定給の選択肢も普通に提案していましたが、やはりダメだった場合の下げるコミュニケーションが相当なストレスで、作業負担も重いため、あまりオススメしていません。

下げる瞬間だけでなく、「下がる可能性があるかも」と思い始めてから数か月間はそのストレスと向き合う必要が出てきます。

であれば、一時金でスパッと対応してしまった方が双方に楽です。

 

入社後、例えば6ヶ月などの期間を見極め期間として、「自分が不安していたことは問題なさそう」とわかれば、昇格して希望する年収までジャンプアップ昇給させます。

もし、不安が払しょくできない場合は、昇格させず、じっくりと自社の環境で成長支援していきます。

 

世の中では、「不安に思っていることは現実には起きない」的な言説があり、自分も「たしかに、そうだよな」と思うことが多々あります。

しかし、人事においては逆です。

たいてい起きます。

 

ラジオでジェーン・スーさんが「30代後半からの直感は当たる」的な話をしており、つまり、ある程度の経験に裏打ちされた直感は当たるんだと。

自分がこの年齢ゾーンに入ってきたことも影響しているかもしれませんが、まさに当たるのです。

 

入社時の等級判定でミスがあったケースは、ほぼ不安や問題を事前に察知しています。

しかし、様々な背景が怪しいところを「大丈夫だろう」と正当化してしまうのです。

 

思いとどまりましょう。

入社時の等級判定で迷いが出たら、入社後の既存社員と思って考えてみます。

意思決定に対して、明らかに情報が少なければ、「下の等級で」検討を進めましょう。

 

そこで、リスクを冒すことは「スタートアップらしさ」ではありません。

 

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