目標設定で一番大事なこと

目標設定が、自分にとって重量なテーマになってます。

どの企業でも、目標設定の悩みは多いもの。

評価者研修やマネージャー研修の中でも、レクチャを受けていると思います。

そんな目標設定において、「一番大事なこと」は何か、について考えてみました。

 

目標設定についてレクチャされること

目標設定についてレクチャする際、以下のような話がよくあります。

 

  • 組織目標から個人目標へブレイクダウンしよう (「カスケードダウン」なんて言う場合も)
  • SMARTの法則に基づこう
  • PDCAを回そう
  • 等級に応じた難易度を設定しよう
  • 自立性を高めるため、社内の情報を公開しよう(見える化しよう)

 

どれも大事です。

間違いありません。

 

しかし、個人的にはテクニカルな印象も受けます。

もっと大上段として、マネージャーが目標設定で意識することがあるのではと。

 

そんなこと思っていたら、稲盛さんの本に生々しい文章で書かれていましたので、少し長いですが引用させていただきます。 

 

「やろう」と思ってもらう

仕事の意義を説く

夢の実現や高い目標の達成には、時として現在の能力以上のことに挑戦していかなければなりません。零細企業だった創業当時の京セラが取れる注文といえば、他社が断った技術的に難しいものばかりでした。それでも私は、その注文を「できます」といって引き受けてきました。

客先から戻ると、私はすぐに幹部を集め、次のようなことを話しました。

「この製品の用途はこうだ。開発に成功すれば、さらにこういう展開が考えられる。今後の電子工業会の発展にも大きく貢献する製品だ」

もちろん当時の京セラにそんな技術や製造設備はありません。そのような中で、私はその製品を開発する意義、その製品にかける夢を一生懸命説いたのです。

「技術も設備もないのに、どうしてつくるのか」と、従業員の顔には書かれています。その顔が「よし、やろう」となるまで、私はとことん話をしました。従業員の気持ちを「どうしてもやり遂げるのだ」という気持ちにまで高めなければ、開発など成功するはずがありません。「何としても成功させる」という強い意思を持ち、努力を続ければ、必ず道は開ける。従業員にそのような思いを持って、仕事をしてもらうために、仕事の意義を、自分のエネルギーを相手に注入するぐらいの熱意で説き続けるのです。

意義や目的に納得できれば、従業員は自ら燃えて、その高い目標にチャレンジするようになります。

『人を活かす稲盛和夫の経営塾』 稲盛和夫(P74)

 

 

目標設定で必ず議論になるテーマが、いかにストレッチの効いた高い目標を設定するか、です。

「自発的に高い目標を設定しない」「保守的な目標設定が行われる」「高い目標を設定したら、損になるのでは」といった話が挙がってきます。

どれも、その通りです。

 

自発的に高い目標を設定できている方なんて少数派。

ほとんどいません。

その方々は、自分で意義・目的をつくり、納得しているのです。

その視座の高さは、特殊ケースです。

 

高い目標を設定するのは経営者や幹部のマネージャーです。

そして、その目標に対して「うっ」や「えっ」とメンバーが反応するのは当然です。

そこから、意義を唱え、「よし、やってやろう」と思わせるのが経営者・マネージャーの役割であり、目標設定において一番大事なこと(スタンス)だと考えています。

 

思いのほか、このスタンスを共通認識で持てている組織は少ないのではないか、と感じています。

 

正直、自分も高い目標なんて自発的に設定するなんてありません。

顧客から提起される無理難題に対して、意義を感じて取り組んでいます。

弱い人間ですから。

 

「できない理由を述べる」は悪いことではない

そういえば、と思ったのですが、ヒトの評価の話になった際、「できない理由を述べる」という意見が出ます。

ネガティブな評価です。

「できない理由」ではなく、「どうすればできるか」を考えられるようになってほしい、と。

 

これよく考えると、「できる・できない」の話ではないかもしれません。

 

そもそも、当事者は意義を感じていないため、「できない」という話に飛んでいるのかもしれません。

意義を説くプロセスを通じて、「自ら燃える」状態になっていないがゆえ。

 

燃える状態になっていれば、まずは「どうすればできるか」を考えるものです。

性善説ではなく、性弱説に基づくマネジメントスタイルです。

 

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