制度で改善するか、運用で改善するか

人事制度導入後、改善の必要性が生じた際、意識しておきたいことがあります。

制度で改善するか、運用で改善するか、です。

その判断のポイントを言語化しました。

 

ハードに手を入れるか、ソフトに手を入れるか

制度で改善するとは、ハード面を変えることです。

ルールを変えたり、ツールを変えたりします。

評価基準や等級要件を変える、評価シートや評価フローを変える、報酬への接続方法を変える、など。

 

一方、運用の改善とは、ソフト面からアプローチすること。

人事制度の運用主体者であるマネージャーのスキル・知識を高めることが主です。

 

ハード面を変えることのメリットは、短期的に変更ができること、そして分かりやすいこと。

しかし、それが確実に効果の出るものかどうかはわかりません。

別の課題が出てくる可能性があります。

 

ソフト面は、その逆で課題を確実につぶすことができ、さらに組織全体の能力向上につながります。

ただし、時間も労力も制度改善以上にかかるでしょう。

 

トレードオフは?

制度で改善する場合、トレードオフについて考える必要があります。

制度を変えた場合、こっちは改善できるけど、こっちに問題が生じる、がトレードオフです。

得てして、問題より改善のメリットを重視し、制度を変えていきますが、その後、出てきた問題に対して同じように改善を繰り返していきがち。

結局、前進しているというよりは、出てきた問題をつぶしているだけで、本質的な課題解決につながらないケースとなってしまいます。

人事制度の運用がうまくいかないケースの代表例です。

 

そして、大事なことはトレードオフの場合、安易に制度で改善しようとするのではなく、運用、つまりマネージャーの成長支援で課題解決することです。

トレードオフという矛盾のマネジメントは、ルールや機械ではできません。

ヒトの脳と感情で対応することがベターです。

時間も労力もかかるかもしれませんが、あっちを立てるとこっちが立たない場合は、あっちは立てるけど、こっちは立てなくていい、と判断し、関係者に納得してもらうよう対応することが求められます。

 

すぐに変えればいい、という話でもない (から難しい)

ダメなら、すぐに変えればいい、というのは正しい場合もありますが、そうでない場合もあります。

シンプルに慣れが必要だったり、一度やってみての理解があれば難なく問題が解消する場合です。

こういうケースで、すぐに制度を改善してしまうと、問題の原因がズレているため、同じ問題が起きる傾向にあります。

 

また、制度を変えることで、再度、理解してもらうことが必要になるため、この部分に現場の負担を強いることも。

制度を変えずに、軽めのガイダンスでスムーズに動く場合でも過度な対応をしてしまい、余計な混乱を招いてしまうことに注意しなければなりません。

 

バランスが大切です。

 

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