人事制度運用におけるサンプルの大切さ

人事制度を運用する中で、サンプルに大切さを感じることが多くなりました。

10-30名規模であれば、マネージャーが経営層なので品質が担保されたり、本人に直接フィードバックできたりするので、サンプルがなくても前に進んでしまうことがあります。

10-30名規模であれば、マネージャーが経営層なので品質が担保されたり、本人に直接フィードバックできたりするので、サンプルがなくても前に進んでしまうことがあります。

しかし、組織拡張のフェーズではサンプルやガイドライン無くして品質を担保することはできません。

人事制度で必要になるサンプルの種類です。

 

等級判定シート

個人の等級を判定するためのシートです。

具体的にどれくらいの粒度で書くのか、どんな文体で書くのか、どれくらいの分量を書くのか、このあたりの認識合わせのためにサンプルが必要になります。

特に、等級要件が複数定義されている場合、要件ごとにコメントを残すのか、要件をマージしてコメントを残すのか、で認識齟齬が起きがちです。

例えば

  • 自ら課題を発見し、解決に向けて動ける
  • 他チームの困りごと対して能動的にフォロー・サポートができる

という2つの要件があった場合、それぞれの要件に対して要件充足のコメントを残すのか、まとめてコメントを残すのか、といった話です。

ルールを定めて、具体的なサンプルを用意することで認識合わせができます。

 

評価シート (目標設定の部分)

個人の目標を記載するシートです。

SMARTの法則をガイドしても「具体的に」の粒度は人それぞれ。
(目標設定で SMART よりも大事なこと)

サンプルでイメージを伝えることが大事です。

また、目標設定の場合、アウトプット・アウトカムに対する想定評価まで事前に定義しておくこともポイントです。

「ここまでできたら satisfactory 、ここまでできたら excellent 」など、成果と評価の対比表を言語化します。

もちろんすべての成果を言語化することはできませんが、できる範囲で認識を揃えておけると、評価のサプライズを防げたり、お互いに納得感のある評価につながります。

これは目標設定スキルの領域ですが、サンプルを使ってスキルをリードすることも人事企画の役回りだと思います。

 

評価シート (人事評価の部分)

個人の評価を記載するシートです。

目標を設定するシートと同じケースがほとんどだと思います。

目標やプロセス・行動に対する評価とフィードバックコメントのサンプルです。

評価者だけでなく、被評価者の自己評価やその理由に関するコメントについてもサンプルを用意します。

特に大切なのは評価者のフィードバックコメント(評価の理由含む)は、被評価者のやる気や成長を後押しする重要な役目を負っています。

「できていました」だけでなく、「どうできていたのか」「どんな工夫がされていたのか」「さらによくするためにどんなことができるとよいか」「周囲からどんなホメがあったか」など評価者の立場から多角的にコメントを残します。

 

コメント作成は、評価者にとって大変な負担です。

被評価者の人数や評価項目によって負担の度合いは変わりますが、やはり「評価する」ということはマネージャーにとって最重要職務。

その認識を揃えることにも、コメントのサンプルが役立ちます。

ただし、評価者の運用負担を無視することもできないので、前回の評価から変化がなければ、コメント省略を可とするルールや評価者の裁量で軽重(濃淡)をつけてコメントフィードバックすることを良しとするケースもあります。

フィードバックや評価の質を落とさない範囲で、制度運用の負担を減らすようトレードオフを乗り越える改善が求めらます。

 

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