組織サーベイ[1] では、目的、実施頻度、質問項目、回答尺度について書きました。
本稿では、組織サーベイ実施後の流れに沿って考えてみます。
集計・分析
毎月実施の場合、各質問の結果(Yes、Yesとは言い切れない、Noの割合)を月別の推移で見ます。
1年間実施できたら、対前年と比較して1年前の組織と比べます。メンバーの数が右肩上がりの組織について、変わったところ・変わらないところ、異変を考察します。
クロス集計の軸は、以下を参考にして下さい。
- 組織
- 入社年次
- 等級
- 役職
- 年収
- 評価
- 評価者
- 性別
- 年齢層
すべてのクロス集計を毎月詳細に見る必要はありません。主に、組織、入社年次、等級をチェックします。その他は、ざっと眺めて異変がないかをチェックする、または何か異変を感じた際、その要因を調べるために使います。
また、集計時に未回答者とNo回答者も把握します。未回答が2回続いた場合、人事より「次回よろしく!」と一報を入れます。No回答者は、内容を確認の上、個別アプローチを都度検討します。
報告・議論
集計・分析の結果を報告します。
経営陣、マネージャー、人事が参加します (マネージャーが外れることもあります)。
今月のサマリーを報告した後、異変となる論点があれば議論します。
考えられる原因は何か、追加で現場に確認することは、どう対応するか、来月の組織サーベイでどう振り返るか、など。
抽象的なテーマゆえ、難しい議論になります。容易に解決策を出すことはできません。モヤモヤも残ります。
議論は仮説の出し合いで進みますが、この議論の過程が大事です。
経営陣、またはマネージャーも含めて全員で意見を出し合い、組織について共有したり、議論したりすることで全参加者の課題意識を揃えていきます。
打ち手もどんどん実践していきましょう。どんな打ち手に効果が出るか分かりません。試行錯誤しながら組織をより良くしていきます。
翌月の組織サーベイについても話し合います。質問項目の変更・追加、気になる質問について回答理由をフリーテキストでもらうことも有りです。
全社フィードバック
回答してくれたメンバーに結果をフィードバックします。
このとき、経営陣・マネージャーへの報告内容と違いがあります。
具体的には、全体結果は公開する・クロス集計の結果は公開しない、です。クロス集計の結果を公開すると、組織や入社年次の「良い・悪い」の評価に繋がってしまうことを懸念するためです。
全メンバーに「コト」に向かうことを求めるのは、なかなかハードルが高く、「良い・悪い」といった感情を持ってしまうと、そもそも組織サーベイに対してネガティブな気持ちになってしまいます。
次回以降のサーベイに対して、正直に回答するモチベーションを下げてしまうリスクがあります。
そのため、全体結果を示しながら
- こういう課題を感じている
- この結果の変化は、どう読み解いていいのか、まだ分からない
- こんな対策(打ち手)を考えている
- みんなはどう思いますか?
- 次回の組織サーベイで、こんな質問を追加するかも
といった内容を伝えます。
毎月のフィードバックはこのように軽めにして、半年や1年の節目では丁寧な振り返りをして全社にフィードバックするのも、やり方の1つです。
組織別フィードバック & 雑談
全社フィードバックとは別に、クロス集計の単位である各組織へフィードバックすることもあります。
参加者は組織のマネージャーです。
上記の「報告・議論」は、全社の課題・打ち手を考える場ですが、この組織別フィードバックでは組織ごとの課題や打ち手を考える場になります。
あと、人事はこの機会に意図的に雑談することをおすすめします。普段、組織外から見えにくいことを色々と聞けるチャンスですし、マネージャーとの信頼関係づくりにも役立ちます。
負担はありますが、現場の一次情報を獲得できる貴重な機会として活用することをおすすめします。