時間を管理(制限)される立場で「企画」の訓練をすることは難しい。その理由と対策は?

時間を管理される立場、つまり会社員として「企画」の仕事ができるようになることは、つくづく難しいと思う。

 

時間をかけても仕上がらない可能性がある

企画の仕事に携わっていて痛感することは、たとえ時間をかけても仕上がらない場合があるということだ。

1時間で終わると見積もったら、3時間かかった。

午前中に終わると思ったら、徹夜してしまった。

「おまえの見積もりが甘かっただけだろう」と言わないでほしい。

それは紛れもない真実なのだが、それ以外に企画という仕事の特性がある。

もちろん見積もりの甘さはあるのだが、それと同時に考えても考えてもうまくハマらない、いい案が思いつかない、考え始めたら次から次へとイシューが見つかった、ということが起きる。

単純作業・定型業務であれば、時間をかければ必ず仕事は完了する。

イレギュラーが起きたとしても問題はない、所要時間が延長するだけだ。

しかし、企画の仕事は延長しても終わらないことがある。

どこかで妥協すればいいのだが、そうもいかない場面があったり、そういう性格の方もいる。

 

しかし、話が矛盾しているように聞こえるかもしれないが、時間をかければ突破口が見えてくるのも事実。

3時間か、5時間か、10時間か、20時間か。

場面にとって時間は様々だが、一定の時間をかけて突破する経験を繰り返すことで企画力が高まっていく。

これは訓練だ。

頭が良ければ、こんな経験は必要ないのかもしれないが、あいにく私はそうではなかった。

 

時間管理されなければいけない会社員は、企画の訓練が難しい

多くの会社員は1日8時間の所定労働時間がある。

この時間内で仕事をしなければならない。

超過勤務も認められるが、限界がある。

正直、その枠内で企画の訓練を繰り返すことは難しい。

「チームで協力すれば」とか、ミスド並みに甘くて話にならない。

 

昨今の職場環境を見ていて感じるのは、この時間制限(いつの間にか時間管理から時間制限と書いていた)のリングの上で自分自身が納得できる企画をアウトプットすることは相当難易度が高い。

ましてや、企画経験が乏しく、新しいキャリアとして経験を積み始めるフェーズではなおさらだ。

もちろん、仕事を細分化して、ショートセットで分担していけば、こんな話にはならないだろうが、それで自分や会社が期待する成長スピードかといわれると、心もとない。

この制限時間内で企画しなければいけないというプレッシャーは、現代人のメンタルをそこそこ蝕んでいると思う。

私もその環境だったら、簡単にKOされているだろう。

 

PCから離れて、紙と本の前で悶々とし続ける

企画で食っていきたいと願うのであれば、決められた時間はアウトプットの舞台だと認識し、それ以外の訓練を舞台の外でやらなければならない。

グラウンドで練習するということだ。

紙やノートを用意して、そこに自らの考えを書き出す。

テーマ、現状、問題、課題、手法、事例、今わかっていないこと、この先のリサーチプラン、ステークホルダー、中長期戦略、打ち合わせ時の作戦、などなど。

そして、関連する本を山積み(10-20冊)して、問いに対して著者と対話する。

ヒットした内容を、再びメモし、情報がたまってきたら、図表にしたり、構造化する。

これを繰り返す。

そして突破口が開くのを自然と待つ。

突破口が開いたら、すぐにメモを取る。

もしスライドに落とす場合は、裏紙や白紙のA4に下書きをする。

事前準備が徹底できていれば、滑らかにアウトプットできるはずだ。

 

ここから所定労働時間の時間だ。

制限時間8時間のうち、無駄な会議や無駄な面談などを捌いて残り2時間。

一気にドキュメントやスライドをつくり込む。

つくったら、即座にフィードバックをもらってブラッシュアップ。

舞台に立つ時間は短い。

ただし、舞台の外では、常にバットを振り続けなければならない。

ホームラインを打つのは、瞬間のなす技だ。

 

書きたいことは、仕事のやり方ではない。

時間管理される会社員が、制限時間のあるリングで企画をすることは、ある種の無理ゲーなんだと感じたことだ。

企画には、余白が必要だ。

締切はあるが、その締切までの時間をフルで使える余白がないと、プレッシャーがたまったもんじゃない。

企画ではなく、アテンドすることが仕事の主になっている方は、このことがわからないので平気で締切を求めてくる。

読みもしないのに、打ち合わせの前に資料を下さいとか。

読むなら渡すが、読まなかったら罰金をもらいたいくらいだ。

 

最後に一言

この苦労を経験した先に、生産性の高い未来がある。

この苦労があったからこそ、まず論点を確認し、事前準備の時間を見積もって、ボトルネックには先に手を打ち、有識者にもアドバイスをもらいながら、期限が2割過ぎるタイミングで8割のアウトプットを生み出し、残りの8割の時間で細部にこだわりながら、余白を感じて10割に仕上げる仕事が出来上がるようになる。

 

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