つくづく質問することって難しいなと思います。
質問の質次第で、相手の力量やセンスまで垣間見えてしまうという現実は、残酷です。
質問したことに対して敬意は表する一方で、気を付けたいマナーもあります。
「みんなが知りたいこと」を聞く
質問することは「善」という無意識があると、やっかいです。
こういう無意識は、自分だけが得をしようという身勝手な質問につながってしまいます。
特に大多数のコミュニティ・カンファレンスのような場で質問する場合、自分というよりは回答してくれる方、主催者側、そしてオーディエンス全体にとって有益な質問でなければいけません。
自分が知りたいことを質問することは非常にリスクであるということです。
「あなたが知りたいこと」ではなく、「みんなが知りたいこと」を質問しないといけません。
これはマナーですが、意外と難しい。
フィードバックされる機会は少ないし、そもそも注意事項として初めに伝えてくれることもありません。
なんとなくわかっている人、もしくはそんなこと意識しなくてもできてしまう人ができているだけで、センスに近い領域かもしれません。
質問することを「成果」と捉えないよう注意が必要です。
利害関係を見極める
質問する側とされる側で利害関係があるにも関わらず、相手を信じて質問してしまうケースがあります。
- ケーキ屋さんに「このケーキは、美味しいですか?」と聞く
- 投資家に「わが社は、資金調達した方がいいですか?」と聞く
- 人事コンサルタントに「人事制度は、そもそも必要ですか?」と聞く
本当に知りたいのか、悩んでいるのか、場をつなぐ質問なのか、は定かではありませんが、こういう質問はよくありません。
マウントを取ろうとしているのかもしれません。
質問の相手と質問の内容にミスマッチが生じています。
こういうミスマッチの質問をされる方は、思いのほか、「意を決して感」と「自信」を持っています。
こういう場合、利害関係がある中でその質問は適切ではない、という旨をフィードバックしてあげることが必要です。
質問の回答から得られる気づきよりも、よっぽど大きな気づきを与えることができます。
適当にその場しのぎの回答をしてしまうと、2度3度と続くことになります。
答えを聞き出そうとしてはいけない
「1+1は何ですか?」
「2です」
こういう質問のやり取りをしてはいけません。
要するに、答えを聞くこと。
特に、経営・人事領域では答えはありません。
いかに自分の頭で考えたか。
脳に汗をかいたか。
その違いです。
そこを安易に答えを求めて質問してしまうと、成長の機会を逃したり、成果の機会を逃したりもします。
答えは仮説で構いません。
そのプロセスと背景について質問し、自分の思考を振り返れるようにすることが大切です。
似たような課題に直面したとき、本気で自分の頭で一度でも考えた経験があれば、次はよりより方向に進みます。
ただ、思考をサボってしまったり、諦めてしまうと同じ失敗を繰り返します。
まずは答え(正解)はないと理解し、自分の頭で考え尽くすことからスタートです。
考え尽くす過程で出てきた障害について、どう乗り越えるべきか、を質問しましょう。