兼務は、問題を解決していない

組織図を見ると「兼務」と記載されていることがあります。

ケースによっては、兼務が複数、というかたくさん。

冷静に兼務を考えてみると、何も問題を解決していないことが多々あります。

自分は、「兼務」はすぐに廃止した方がいい、もしくは兼務廃止に向けたプランニングを同時に実行していくことが必要と考えています。

 

なぜ、兼務なのか

スタートアップにおける兼務の問題は、メンバー・担当者クラスが複数業務を兼務する場合ではなく、経営レイヤーやマネージャーが組織上のポジションを兼務している場合に起こりがちです。

 

なぜ、兼務するのか。

 

①あれもやりたい、これもやりたい、できる人がいないので、とりあえず自分が兼務する

 

②組織が大きくなったら、必要な仕事・ポジションが生じて、対応できる人がいないので、とりあえず自分が兼務する

 

③「A」という仕事を立ち上げたら、自然と「B」という仕事も必要になり、問い合わせも来るので、とりあえずポジションをつくって、自分が兼務する

 

ざっと、こんなところでしょうか。

声には出すことはありませんが、「とりあえず」の感覚が強い。

それが兼務です。

 

「兼務」と書いて「問題の先送り」と読む

本来、そこには「企画」と「意思決定」、「振り返り」と「改善」の責任があります。

1名分のパワーが必要なのです。

 

しかし、対応できる方がいないため、仕方なく経営陣やマネージャーが兼務し、主に「意思決定」だけをやっている「つもり」で、ものごとを動かしていきます。

 

でも、現実は「動いている」だけで、価値が積みあがっていません。

「問題は起きていない」と認識しているかもしれませんが、それは「問題に気づいていない」というケースも多い。

 

その道の専門家ではなかったりするので。

 

兼務は問題を解決しているわけではなく、問題を先送りしているだけです。

スタートアップにおける少ないリソースなんだから、しょうがないのでは?という声が聞こえてきます。

 

たしかに、そうです。

しかし、問題の先送りを正当化しても企業は成長しません。

現実を見て、きちんと対応する必要があります。

 

採用・育成するしかない、もしくはやらない

兼務について、当たり前のことを言いますが、人を採用・育成し、兼務を解消しなければなりません。

兼務と組織図に書くだけで、問題が解決したように錯覚してしまいますが、何も解決していないのです。

 

組織図上の見栄えは良くなったかもしれませんが。

 

兼務で組織図をお化粧してしまうと、問題が曖昧になり、誰もその事象を問題として捉えなくなってしまいます。

組織図上、兼務ポジションは「空欄」の方がいいです。

欄外に担当者・責任者の名前を載せるで十分です。

 

兼務を発生させる場合、いつまでにそのポジションの方を採用・育成するのか、というプランニングを同時に行う必要があります。

これは必須。

でないと、ずっと兼務が続きます。

何度も言いますが、兼務は問題を解決していないのです。

先送りしているだけです。

 

あとは、兼務ポジションをつくらず、その仕事を「やらない」というのも立派な選択肢です。

実質的にやっていないのであって、問題を感じる機会が増えることで採用・育成への動機づけに有効です。

 

100名ぐらいの組織から「兼務」には注意が必要です。

気を抜くと、すぐに「兼務」がやってきます。

ノーコストで、とにかく楽に問題解決できた気分にしてくれます。

その甘い経験をすると、兼務を乱用してしまう危険性もあります。

 

兼務は、徹底的になくしましょう。

 

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