組織規模がそれほど大きくないスタートアップ、例えば100名未満の組織には、まだ現実味を感じないテーマかもしれません。
ただ、自分にとって組織サーベイの部門別結果を全社に公開するか否かはポジションを取り切れていなかったテーマです。
そこに1つの評価基準ができました。
「公開する」ことを推奨します。
部門別の組織サーベイの結果まで公開するか。悩ましい。。。
人事制度を設計・運用した後、組織の状態や制度への理解・納得を定点観測するためにも組織サーベイの実施を提案しています。
コストをかけずにサクッとできるサーベイです。
質問内容や実施頻度など、議論すべきポイントがあるのですが、ある程度の理由をもって標準化できていました。
その中で「結果の全社公開(共有)」は、どうも自分として明確なポジションを取れていなかったと思います。
サーベイ回答への感謝とオープネスを目的に「全社単位のサーベイ結果は公開する」が基本路線で、ここは問題なかったのですが、部門単位のサーベイ結果の公開については良し悪しがあるため、ポジションを取れていなかったという意味合いです。
オープネスなカルチャーや情報共有の観点で公開の「良し」はあるものの、極端に結果の悪い部門があった場合の当該部門メンバーの心理的な負担や回答への影響を考えると、「公開すべき」とはどうも言い切れない自分がいました。
公開している会社(クライアント)は存在するものの、理由はオープネスであり、その追及でした。
よって、オープネスへの意識次第なのか、と自分の思考が深まっていなかったのが事実です。
人事異動を促す参考情報に活用する
参考になったのが労政時報4051号。
「先進企業の人事トップインタビュー」にて富士通の話が紹介されていました。
ジョブ型など人事施策全般が語られている中で、人事異動のくだりからサーベイの話に展開していたのです。
ざっくり要約すると
- 社員がキャリアを主体的に決める機会を増やす
- ポスティング(社内公募・手上げの仕組み)を拡大
- 以前は限定的に実施して100名程度の異動だったのが、4000名ほどに拡大
- 各事業部門への採用権限を委譲し、部門で柔軟に補充できるようにした
- その異動の参考情報としてエンゲージメントサーベイのスコアをサマライズした結果を公開
- 「もっと組織の情報をオープンにしてほしい」「自分が行きたい部署がどんなところか知りたい」といった声があった
ということです。
組織の規模からすると、スタートアップとは「桁違い」ではありますが、この考え方に腹落ちした自分がありました。
今、特に人事異動や人材育成の領域に意識が向いているからだと思います。
この理由をもとに、部門別のサーベイ結果を公開する意味はありそうです。
いつから公開するか?
同時に思ったことは、「いつから公開するか?」ということ。
組織サーベイを実施する組織規模はまだ小さく(100名未満)、人事異動もほとんど行われません。
その前提で、このロジックが成立するのかと。
そこで、異動施策が必要になり、このロジックに納得感が出てきてから部門別結果は公開するも有りだと思いました。
ただし、もしその進め方をすると、いざ部門別結果の公開時期になった頃、「結果が良くないので見せたくない」という本音のもと、様々な意見が出てくるだろうなとも推測できます。
いくらでも公開しない理由は考えることができそう。
それを押し切ってまで出すとなると、どうも関係性が悪くなり、本論とズレたところで問題が起きることが想像されます。
なので、自分としては組織サーベイ実施段階から部門別結果も公開する方針でいるのが良いと考えました。
ただし、サーベイ導入期は部門別の人数が少ないため、例えば部門長(マネージャー)含めて5名以上の組織を公開する、というルールを設定しておくなど一工夫が必要です。
なお、ここで使っている「部門」とは、本部や部、課など階層に関係ない「チーム」を指しています。
なので、本部だけでなく、組織単位が大きければ課の結果も公開するのは有りです。
この方針で今後、クライアントには提案してみようと思います。
もちろん色々な意見は出てくるはずなので、その議論をもとに最適な形へとアップデートを図る前提です。