「本人の同意がない限り転勤させない」は、12.2%

友人(数少ない友人のうちの一人)が、10月から海外へ転勤することになりました。

羨ましい。

 

さて、スタートアップの仕事現場では「転勤」に関する相談も、ちらほら増えてきました。

10名の会社では考えることはありませんが、100名を超えてくると考える機会が出てきます。

本社以外の支社を遠方に立ち上げる際、メンバーをどうするか。

 

議論のイメージ

大企業では、転勤に強制力がある印象ですが、自社(スタートアップ)ではどうあるべきか?から始まります。

  • 誰が行ってくれるんだろう?
  • 就業規則では、勤務地を限定していないので、そこは自由に会社が決めていいのでは?
  • 本人の事情・意思をどこまで配慮すべき?
  • ご家族のことを、どこまで配慮する?
  • 現地採用はどうする?
  • 転勤先の住居は?
  • 住宅補助は?
  • 引っ越し代は?
  • 光熱費とかは?
  • 本社に来てもらう際の交通費は?
  • 年末年始とかに帰省する際の交通費は?
  • いつまでに本人へ伝える?
  • 支社の場所が、出身地になっている人に打診するとかあり?
  • あの人、家買ってなかったっけ?
  • あの人、家買うって言ってたけど、大丈夫?
  • そもそも、これって誰が、どう決めるの?
  • 法的なリスクって?
  • 転勤って、何年ぐらい?

などなど。

世の中には、ブラッシュアップされ続けた転勤に関するルールがあるので、車輪を再発明する必要はなく、それを真似して細かい調整を加えれば、比較的スピーディーに決めることはできます。

 

転勤に対する本人の意思

転勤の強制力って、どんなもんなんだろう?

定量的に把握しようと考え、我らが労政時報で検索しました。

「国内転勤に関する取り扱いの最新実態(2021.04.23_4013号)」がありました。

※この調査における「転勤」とは、「転居を伴う人事異動」で「国内転勤」に限定されています。

 

ざっとまとめると

 

転勤者の選定における本人の意思の反映 (n=254)

  • (管理職でなく) 一般社員の場合「本人の同意がない限り転勤させない」は、12.2%
  • 「本人の意思・自己申告に配慮しながら相談の上で転勤を行う」は、55.1%
  • 「本人の事情調査を行うが、本人には相談せずに転勤を決定する」は、30.3%
  • 「転勤者の選定に際して、本人意思や事情の調査は行わない」は、2.4%
  • 管理職では、「本人の同意がない限り転勤させない」は、8.3% (一般社員に比べて下がる)
  • 1000人以上の企業規模(n=87)で絞ると、「本人の同意がない限り転勤させない」は一般社員で5.7%、管理職で2.4%

 

ぐぬぬ。。。

「本人の同意」って、ほぼ1割なんですね。

「本人に相談されない」って、3割もあるんだ。。。

自分が住む場所が変わるって、重大なイベントだと思いますが、3割の会社では相談すらされていないんですね。

「本人の意思・自己申告に配慮しながら相談の上で転勤を行う」が5割ですが、「本人の同意がない限り転勤させない」が別の選択肢にあるってことは、「相談するけど同意は求めない」って話だから、あまり意味はないかと。

要するに、本人の同意(拒否)は1割で、9割は強制力があると理解しました。

会社が「行け」っていえば、行かざるを得ないってことでしょう。

なんか、昭和の匂いが。。。

 

あと、他にも以下の質問がありました。

 

転勤者の選定で配慮する事情 (n=206_複数回答)

一般社員も管理職も数字は似ているので、一般社員に絞って記載すると

  • 本人の健康事情:89.8%
  • 家族の病気・介護:88.8%
  • 子どもの教育・進学:54.4%
  • 配偶者の妊娠・出産:44.2%
  • 配偶者の仕事:27.2%
  • 住宅を取得済み:20.9%
  • その他:2.9%

 

健康とか家族の病気とか、当たり前でしょ。

配偶者の妊娠・出産や仕事、低すぎでしょ。

子どもの教育が配偶者の仕事の2倍も配慮されるって、何で。
(2倍の理由を考えても、自分なりの仮説が全然思い浮かばず… )

配慮されても9割は「同意なし」なので、そもそも配慮する意味ないのでは。

 

「住宅を取得済み」も、どうも勘ぐってしまいます。

「住宅を取得しているから転勤は避ける」と受け取っていいのか、「住宅を取得しているから、ローンを人質に転勤命令されても断れない」と考えているのか。

倫理的に、後者のはずがありません。

 

 

転勤は、本人の意思でやるべき 

わかっていたものの、改めて定量的に見ると、「うわっ」というデータでした。

 

そもそも会社が強制力をもって転勤を指示・命令することは、いかがなものか?

自分は「本人の意思で転勤すべき」というポジションを取っています。
(会社が転勤を提案するのは、もちろん有り。本人がそれに乗れば転勤すればいいし、今は違う、と思えば気軽に断ればいい、という意味です)

理由は、非論理的かつ感情的に言語化すると

  1. 時代は変わった
  2. ダサい

 

もう少し論理的かつ冷静に言語化すると

  1. これだけ人不足で人材競争が激しい時代。誰でもできる仕事を大量生産して生き抜く時代ではない(そういう領域もあるが)。価値を生み出せる人材を獲得・リテンションするために、柔軟に考え、時代の変化に適応する会社が次々に出てきている。そして、リモートワークの影響。インフラも時代が変わった。
  2. 人に言われてやってるようじゃ、ダメでしょ。何をやるべきか、やりたいか、は自分の意思で動かないと。

 

転勤に関しては『人事の成り立ち』にて、日本企業の人事の肝と捉えており、本質的な考察がなされています。

深い学びでした。

解雇を許さない代わりに、転勤(異動)の自由を認めてきたという日本の労働環境は、そろそろ変わっていかないと本当の意味で時代遅れになりそうだと危惧しています。

 

ちなみに「転勤」が絶対悪なんて言うつもりはなく、そこに介在する会社の強制力って何なん、という主張です。

住む場所を変えるって、本人・家族にとってデカいイベントのはず。

「自分(たち)」を変える重要な手段でもあります。

偶然や強制力がもたらすメリット・幸せはあるのかもしれないけど、それを他人に任せてやるのは違和感あるな、という思いの整理でした。

Share this...
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter