心理的安全を高めるリーダー

エイミー・C・エドモンソンさんの著書『チームが機能するとはどういうことか?』を読み、「心理的安全」の意味と大切さを深く理解しました。

特に「心理的安全をどうつくるか」という How の理解に役立ちました。

紹介されているフレームに基づき、自分の経験も交えて How を整理してみます。

心理的安全の定義

心理的安全とは

人々が気兼ねなく発言できる雰囲気

と定義されています。もう少し引用すると

心理的安全があれば、厳しいフィードバックを与えたり、真実を避けずに難しい話し合いをしたりできるようになる。心理的に安全な環境では、何かミスをしても、そのために他の人から罰せられたり、評価を下げられたりすることはないと思える。手助けや情報を求めても、不快に思われたり恥をかかされたりすることはない、とも思える。そうした信念は、人々がお互いに信頼し、尊敬し合っているときに生まれ、それによって、このチームでははっきり意見を言ってもばつの悪いおもいをさせられたり拒否されたり罰せられたりすることはないという確信が生まれる

とあります。

「何でも言い合える組織」になるには、心理的安全という雰囲気が必要ということです。信頼や尊敬とある通り、HRT にも通じているとも思いました。

心理的安全を、どうつくる?

『心理的安全性を高めるリーダーの行動』として、以下が挙げられています。

1. 直接話のできる、親しみやすい人になる

2. 現在持っている知識の限界を認める

3. 自分もよく間違うことを積極的に示す

4. 参加を促す

5. 失敗は学習する機会であることを強調する

6. 具体的な言葉を使う

7.境界を設ける

8. 境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる

自分のスタートアップ組織での経験に基づき、心理的安全性を高めるリーダーの行動を言語化してみます。

1. 直接話のできる、親しみやすい人になる

親しみやすいかどうかは受け手によって変わりますが、とにかくリーダーがメンバーと直接話をすること。

職場での声掛け、1on1、朝会、夕礼、定例会議、全社Mtg、合宿、オフサイトMtg、ランチ、おやつ会、歓迎会、達成会、飲み会、などなど。

話す内容(質)よりも機会(量)が重要です。

2. 現在持っている知識の限界を認める

スタートアップはそれぞれの得意領域(専門性)をもった人材で構成されます。

リーダーよりも、その得意領域では一歩二歩、先にいるメンバーがいます。そのとき「知識も経験も自分より豊富。任せる」「自分には分からないし、できない。助けてほしい」と言えるかどうか。ちなみに「任せる」とは丸投げではなく、最終責任はリーダーが負います。

信頼・尊敬しているリーダーに「助けてほしい」と言われて、やる気にならないメンバーはいません。

3. 自分もよく間違うことを積極的に示す

スタートアップは難しい課題に挑戦する組織で、失敗はつきもの。その際、リーダーが率先垂範して「これは失敗だった」と言えること。

メンバーは「リーダーも失敗する。自分も失敗するかもしれないけど、まずやってみよう」とか、「自分も失敗するくらい、でかいことやってやろう」と考えられるようになります。

安易に失敗を容認しているわけでなく、失敗を恐れてすぐに動けない状態をなくすこと、無難な落としどころに合わせていく癖をなくすこと、が狙いです。

4. 参加を促す

プロジェクトや会議に積極的に参加してもらうことですが、ここで勘違いしてはいけないのは参加させることが目的ではないということ。

リーダーが知識の限界を認め、リーダーも失敗する存在との認識があれば、リーダー一人でやるよりもメンバーに頼る方が効果的です。

「メンバーが参加することで確実にアウトプットが良くなる」から参加を促すわけであり、メンバーの意見が大切・有効であることが伝わってこそ、心理的安全を高めていきます。

5. 失敗は学習する機会であることを強調する

上記「3. 自分もよく間違うことを積極的に示す」につながりますが、失敗から学ぶこと。

失敗しただけでは、個人も組織も成長していません。失敗から学び、自分が同じ失敗を繰り返さない、失敗を共有して他者が失敗しないようにする、新しいやり方やニーズを見つけて成果を出す、という改善や成長が大事です。

これができれば失敗でなく、成功の過程となります。

これを何度もメッセージとして発信することが失敗への免疫をつくり、心理的安全の高い組織へと成長していきます。

6. 具体的な言葉を使う

少し言い方を変えると「伝わる言葉を選ぶ」ということ。リーダーが曖昧な言葉でチームに働きかけると、メンバーはその真意を探りにいきます。

心理的安全が高い組織であれば「何を言っているか分かりません」と言えますが、高くない組織だと「分かってないのは自分だけかも」「分かりませんと言ったら怒られる、バカだと思われる」などと考えてしまいます。もちろん本人のキャラクターも影響しますが…

ただ、これが組織ってヤツです。

結局、意図が把握できずに発言できなかったり、発言したけど意図が違っていたりして期待に応えられなかったと感じてしまうと、心理的安全がグッと下がります。こういった状態をなくすためにも、リーダーは相手に伝わる言葉を選び、単刀直入に伝えることが大事です。

7. 境界を設ける

「境界」って何?、と自分は思いました。これは「Value (価値観)」のこと。

スタートアップでは、自社の Value を定めているケースが多いですが、その Value を使って組織を運営するということです。

Value を設定すると心理的安全が高まる?という疑問については、下記「8」で詳細に説明します。

8. 境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる

自分なりに読み替えると「Valueの体現を求める」ということです。

メンバーは仕事の仕方についてValueという明確な境界があれば、その境界に基づいて仕事を進めることができるため、仕事の仕方というプロセスに余計な不安を抱くことはありません。

こうして心理的安全は少しずつ高まっていきます。

差が出やすいところ

個人の感想です。

心理的安全の高い組織をつくれるリーダーは、次の3つで差が出ていると感じています。

  • 2. 現在持っている知識の限界を認める
  • 3. 自分もよく間違うことを積極的に示す
  • 5. 具体的な言葉を使う

この3つがうまいです。うまく人を巻き込みます。一緒に事を成し遂げたいと思うことができます。

1-8 のすべてが大事であることは間違いないですが、リーダーには 2・3・5 の視点で振り返ることをおすすめしたいです。

Share this…