マネージャーに、給与情報は公開する?

マネージャーがメイン評価者になる場合、評価を担当する被評価者の給与情報を公開するか、また評価を担当しないメンバーの給与情報まで公開するか、悩みどころです。

ポジションの考え方、マネージャーの人材レベルや役割定義に応じて、対応方法は変わってきます。

公開範囲のパターン

給与情報をマネージャーに公開するパターンを定義します。

  1. 全公開
  2. 一部公開:部門内は公開、または同じ職種は公開
  3. 一部公開:部門におけるチーム内は公開
  4. 一部公開:評価を担当する被評価者のみ公開

マネージャーには、給与情報を公開しないケースもあります。

多くの場合、組織階層によって違いを持たせていると思います。例えば、本部長階層は「1. 全公開」、部長階層は「2. 一部公開:同じ部門は公開」、課長階層は「3. 一部公開:部門におけるチーム内は公開」です。

スタートアップ創業期は、創業者や共同創業者、あとは給与計算担当者(バックオフィス)だけが給与情報を知っている状態です。人数が増え、マネージャーを配置するタイミングで「どうする?」となります。

ただこのタイミングでは「公開しなくても大丈夫でしょ」「~さんなら公開してもいいんじゃない」「よくわからないから、とりあえず非公開にしよう」など、公開・非公開のどちらのケースもあります。

ここからマネージャーの数が増えてきた際(例えば5名とか10名)に、きちんと決めないといけない状況になります。

公開する理由

主な理由として、3つ取りあげます。

①公平に目標設定するため

スタートアップは中途採用が中心ゆえ、採用時の給与決定の柔軟性を担保するために、比較的給与レンジが広くなります。給与レンジが200万とか300万のイメージです。

等級が同じでも年収がこれだけ違う場合、目標設定のレベル感も変わってきます。ただし、給与情報をマネージャーが把握していないと、この年収の違いを目標設定に反映することができません。

「等級が同じなら、目標設定も同じでいいのでは?」という意見も理解できますが、いざ評価・給与改定のタイミングになると、どうもこの差が気になってきます。

目標設定するマネージャー(メイン評価者)に、給与情報が非公開となっている場合、給与情報は公開しない代わりに給与レンジ内の大まかな位置を共有して対応することがあります。

具体的には、給与レンジを3分割して、その位置を記号(例えば、上・中・下)で表示します。この「上・中・下」をマネージャーが把握することで、目標設定のレベル感を揃えることができるようにします。
(「上・中・下を知っているなら、ほとんど給与情報を公開しているのと同じことでは?」という声も出ます)

そもそも給与レンジが狭く、給与情報を知らなくても、等級さえ把握できていれば公平に目標設定できるのであれば、この理由には該当しません。

②負担を分散するため

給与決定は、マネージャーにとって重要な職責。スタートアップでは、これを創業者や創業メンバーが当初担います。

組織規模が拡大し、人数が増えるに従って、給与決定の負担が高まります。能力や成果の違いだけでなく、職種や役割、採用時期や前職給与など、考慮すべき事項が増え、複雑になります。

この負担を分散させるために、給与情報を公開し、同時に給与決定(もしくは給与改定の提案)の権限も委譲します。

このタイミングで、給与情報を公開して権限移譲できるマネージャーがいるかどうか、が組織によって違います。この信頼できるマネージャーがいないと、負担を分散したくてもできない状況に陥り、組織づくりに手が取られます。

メンバークラスだけでなく、早めにマネージャークラスを採用することは、こんなところでも効果を発揮します。

③納得感を高めるため

「②負担を分散させるため」と表裏一体の理由です。人数が増えると、創業者や一部のマネージャーだけで各自の活躍や貢献を把握することが難しくなります。その課題から、等級・評価・給与の決定に関する権限が委譲されます。

目標設定、1on1、評価と、最も身近でメンバーを見ている直属の上長(マネージャー)が決める方が、被評価者からすれば納得感があります。

もちろん、マネージャーのマネジメントスキルが基準を満たしており、人間性に申し分なく、被評価者との信頼関係が構築できている前提ではありますが。

1つ注意として、等級と評価は社内の人事制度が基準となるため、人事制度が公開されている場合であれば問題なく、権限移譲が進みます。

一方、給与は社内の人事制度=基準はありながらも、他メンバーとの社内バランスや社外の報酬水準・トレンド(例えば、今このスキルを持った職種の報酬水準が上がっている、とか)を考慮する必要があります。

マネージャーが評価を担当する被評価者のみの給与情報だけを把握している場合だと、社内バランスを考慮することが難しくなります。上位階層のマネージャーが給与決定をサポートしたり、共同で決めるプロセスを取って対応します。

また採用プロセスで把握できる社外報酬水準の情報は、職種単位でまとめ、関係するマネージャーに共有することで目線合わせできるようになります。報酬に関する社内の認識を揃えて、納得感の向上を目指します。

マネージャーよりもメンバーの給与が高くなってしまった場合

主な理由を3つ取り上げましたが、給与情報の公開や決定権限の委譲に出遅れる場合があります。

代表的なケースは、マネージャーよりもメンバーの給与が高い、です。採用のニーズや前職給与など、本人の実力以外の要因が給与に反映されてしまうと、こうした状態が起きます。

このケースが1つあるだけで、公開に踏み切れず、「公平な目標設定」「負担の分散」「納得感の醸成」といった上記で取りあげた内容が、組織課題になる場合があります。枝葉が気になり、幹がないがしろになるイメージです。

マネージャーの給与増で解決できればすぐに対応する、メンバーの給与が成果や実力と乖離がある場合は時間をかけて対応する、の方針で早めに動くことをおすすめします。

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