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スタートアップがValueをつくった方がよい理由

スタートアップでValueを定めることが一般的になってきました。金田もValueは非常に大事だと思っています。ここで言うValueについて「価値観」、もう少し具体的で且つ”使える”表現として「判断・行動の基準」と定義しておきます。

Valueをつくった理由について、金田が見聞きしたものを一部挙げてみました。
・経営チームの言っていることが何となく組織に伝わりにくくなってきたと感じたから
・自分たち経営チームの意識や心構えを再確認するため
・自分たちが大事にすることを発信して自社にマッチした人材を効率的に採用するため
・他のスタートアップがつくっているから
・先輩起業家や株主に「つくった方がいいよ」と言われたから
・メルカリさんがValueを評価制度に反映しているみたいだから

一方で組織にValueがなく、必要性を感じているけどまだつくっていないケースやそもそも必要性を感じていないケースもありました。人それぞれって感じですね。

そこで自分なりにスタートアップがなぜValueをつくるべきなのか、について考えてみました。大きくは3つかな~。(なんでコンサルタントって、3つにしちゃうんだろう…、職業病としておきましょう。ちなみに全然MECEではないですからw)

1.組織の動きをスピーディにする

スタートアップでは創業メンバーこそ、友人関係であったり、過去に一緒に働いた経験があったり、とお互いの仕事の仕方やものの考え方を把握できています。ただ、それ以外でジョインしてくれるメンバーは、仕事の仕方やものの考え方をお互いに把握できていません。主に経験者(中途採用)で組織をつくるスタートアップは、多様な「仕事の仕方・ものの考え方」を持った人材で構成されます。問題になるのは「仕事の仕方・ものの考え方」が違うので、Vision・Missionで共通のゴールを描けていたとしても、そのプロセスでやり方や認識の違いが発生し、そのすり合わせに時間がかかってしまったり、自分の意見ややり方が通らないことでモチベーションを下げてしまったりすることです。結果、組織の動きが遅くなっていきます。具体的には、意見がまとめらない、その場合に上位者の判断を仰ぐ(上位者がいないと先に進まない)、といった状態が目立ってきます。

ここで Valueがあると役立ちます。「仕事の仕方・ものの考え方」で意見が別れたときや判断に迷った場合に、Valueに基づいて判断・行動できるようになるからです。経営者が言っているから、またはリーダーが言っているから、という軸で判断・行動するのではなく「Valueを軸に考えるとどうなるか?」、これが判断・行動の基準になります。この考え方が定着してくると、意見が割れた場面や迷った場面でも、ダメなら謝って済みそうな問題なら都度上位者に判断を仰ぐことをせず、組織全体で同じ判断・行動をすることが可能になります。Valueに基づいて判断・行動したけど、ロジックを間違えて上位者と異なる判断・行動になってしまった、なんていうこともあるかもしれません。ただし、何度も繰り返していけば段々とすり合ってきます。大事なことはValueがしっかりと浸透し、Valueを使って判断・行動しようとしていること、つまりValueを体現しようとしていることです。こうした積み重ねが、スタートアップにとって最も大切なスピードに繋がってきます。いち早く実行し、いち早く振り返り(成功・失敗から学び)、何としてでもやり切る、を繰り返すためのスピードに、ですね。

2.自信を持って行動できるようにする

初期のスタートアップは実績がありません。今からつくっていくフェーズですから。成功パターンが見えない中で超高速の試行錯誤を繰り返し、1つ1つ実績を積み上げていきます。その過程は、成功1に対して失敗10ぐらいあるかもしれません。起業家はこういうのを乗り越えられるからこそ、起業家なのかもしれませんが、そうでない人、つまり僕みたいな普通の人間は、へこんで嫌になって放り投げてしまいます。ここでValueの出番です。うまくいかないことが続き、先が見えない中でも「Valueを徹底して体現し続ければ必ず成功につながる」という組織のメッセージ(信念)が伝わっていれば、うまくいかないことにはもちろん挫けるかもしれないけど、今やっていることは間違っていないと前を向いてやり抜こうとします。

Valueって要は「信念」なんですよね、「こうすればこうなる!」っていうエビデンスはないかもしれない信念。だからこそ、Valueをつくる場合は、必ずビジネスモデルから考えることが大事。自社のビジネスを成功させるための人・組織の差別化要因が何か、これがValueに落とし込まれる内容です。ビジネスモデルが変わればValueも変わると思っています。そういう意味では、事業を立ち上げた創業者が一番コミットし、深く考えていると思うので、創業者が中心となって言語化することがベターですよね。もちろん、周囲のメンバーとのディスカッションを交えてやっていったりするんだろうけど。

あとValueをつくるプロセスとして、1泊2日でオフサイトの合宿したり、社員全員集めてワークショップしたり、とか聞いたりすることもあります。個人的には、創業者を含む経営チームが4時間ぐらいでつくってしまうのがちょうどいいかな~なんて考えています。スピード重視です。90分ぐらいで発散しながらホワイトボードに要素を書きまくって、30分ほど休憩しながらダラダラとホワイトボード見ながら喰っちゃべって、120分でPC使いながら一気にワーディングを整える、ようなイメージです。金曜日の午後とかにやるのがいいですかね、気分的に。Valueとざっくりとした定義ぐらいだったら、これぐらいの時間・やり方でできると思うので(自分たちのビジネスの成功イメージを仮説でもっていることが前提)、初期のスタートアップでも忙しい時間を割いて集中してやってみてほしいです。

3.自社にマッチした人材を採用できるようにする

最後に、やっぱり採用にも効果ありそうです。実際に色々なケースを見聞きしているのですが、中でも分かりやすい事例としてSmartHRの例をご紹介します。社員数が20名弱のころ、エンジニアに入社理由を聞きました。事業やメンバーの魅力はもちろんあったと思うのですが、ある方からこんな話を聞きました。

「Valueに強く共感した。エンジニアとして、このValueは本当に大事だと思っているし、前職ではそこまで重視されていなかったようにも感じる。このValueで仕事ができる環境は自分にとって魅力的。」と。そのValueは、SmartHRの6つのValueのうちの1つで、

一語一句に手間ひまかける

細部まで徹底的にこだわろう。言葉だけにとどまらない。UI もコードも、公開している限りそれはユーザーへのメッセージだ。もっと言葉を磨こう。1 ピクセルにこだわろう。コードの一行一行に魂を込めよう。

という内容でした。これが本人にグッときたんでしょうね。

この話のスゴイところって、もちろんValueが人材採用に役立つということではあるんですが、それにプラスして「入社前にメンバーにValueが浸透し始めている」ってことなんですよね。「うちの会社はこういうことを大事にしています」と採用面接や入社オリエン、さらには入社後のOJTの中で説明して浸透させていく前に、本人が自発的にValueを理解して体現しようとしている。こういう人材が揃った組織って強いですよね。強くないわけがない。

おわりに

金田はValueの力を信じていますし、実際にその強さも体験してきました。Valueが浸透している会社とそうでない会社も実際に見てきました。こういう目に見えない力が、組織を動かす大きな要因になっていると考えると本当に面白いな~なんて思ったりしています。