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1on1スクリプト -SmartHRの事例-

1on1をやっているスタートアップは多いですが、どんな風に1on1をやればいいのか、何を話せばいいのか、について知りたいという方も多いと思います。そこで、以前SmartHRさんで社員が30名ぐらいに増えてきてリーダーの1on1を仕組み化する際に一緒に作らせてもらった1on1スクリプトと、その背景について説明していきます。

SmartHRでは、当時評価制度を導入し、納得感ある制度運用を実現するため、そしてリーダーが増えたタイミングで1on1の品質にバラツキが出ないようにするために仕組み化しました。このフォーマットを土台に各リーダーがカスタマイズしています。

1on1スクリプト

当時、こんなスクリプトをつくりました。

現状把握・課題整理・対策立案

2週間に1回の1on1のため、前回の1on1からの振り返りと今困っていることの確認、その解決サポートを行います。大切なことはコーチングスタイルで、困っていることの解決策は本人に考えてもらうこと。傾聴や質問を通じて、そのサポートを行うのがリーダーの役割です。

上長へのフィードバック・自分へのフィードバック

1on1の中でやっている方は少ないかと思いますが、ここは肝です!特にメンバーからリーダーへフィードバックするセッションです。このセッションには2つの狙いがあります。分かりやすいのはリーダーの成長促進。率直なフィードバックを受ける機会が減ってくるリーダーにその機会をつくり、気づきを得ることを狙っています。もう一つの狙いは、メンバーがリーダーへフィードバックして、それをリーダーが必ず受け入れることで心理的安全を高める効果があります、結果としてメンバーがリーダーに対してどんなことも発言しやすい環境をつくる狙いがあります。「心理的安全の高い組織をつくる」でも書きましたが、心理的安全が大事なのは当然で大切なのは、それをどうやってつくるかということ。仕組みの中に心理的安全を高める取り組みを落とし込み、組織力の強化を図りました。

あとこれはテクニカルな話なのですが、フィードバックをしやすくするためにKPTのフレームワークを使っています。Keep・Problem・Tryの順番で整理する超シンプルなフレームワークで、SmartHRさんで昔から定着していました。これの良い点ですが、金田のまったくの主観では「フィードバックしてください」とお願いすると相手はなぜか「悪い所を指摘してください」と受け取る傾向が強いと感じており、上長に向かって悪い所を指摘しろと言われても、あとで仕返しされるのではとの恐れから「(フィードバックは)特にありません!大丈夫です!」といった無難な返事が返ってきます。無いはずはありません、言えないのです。そこでKPTを使うと、まずKeepとしてポジティブな点をフィードバックする順番なので、フィードバックしやすいのです。そしてKeepを挙げた後にProblemなので、こちらも言いやすくなります。最後に今後に向けたTryで締めることができるので、フィードバックセッションを前向きに終わることができるという効果があります。非常に細かい話なのですが、これこそ「神は細部に宿る」だな~と思っていたりします。

ミッションの進捗確認・欲しい結果への(現時点での)評価

これはOKRの評価です。OKRは抽象的なObjective(目標)もあるため、評価でサプライズが起きないように、なるべく1on1で擦り合わせを行って行きましょう、という考えです。

行動計画

次の1on1に向けた話で締めます。

おわりに

1on1はとにかく実践と継続です。今までやろうと思っていたけどできていなかった方のきっかけになってくれれば嬉しいです!

1on1で使える3つの「働きかけ」

スタートアップの人事・組織に携わっていると「1on1ではどんなことを話している?」とか「1on1ではどのようにコミュニケーションを取ると良い?」なんていう話をよく聞きます。今回は、後者のコミュニケーションの取り方について考えてみます。1on1はホットな話題なので、情報がたくさんありますが、その中でも1on1と言えば”ヤフー”さんとよく言われる通り、『ヤフーの1on1』が大変参考になりました。この『ヤフーの1on1』を参考にして、あと自分の経験を踏まえて整理してみます。

1on1でコミュニケーションを取る際、『ヤフーの1on1』でも紹介されている3つの「働きかけ」を意識的に使えると、1on1をスムーズに進行できて、お互いの認識の擦り合わせにも効果的です。3つの「働きかけ」とは、
・ティーチング
・フィードバック
・コーチング

よく耳にする言葉ですが、その定義はそもそも曖昧だったり、人によって違っていたりするもの。そこで意味と使い方を整理します。

ティーチング:正解を教える

まずティーチングとは「教える」こと、つまりそこには正解となるルールややり方が決まっています。例えば、会社の就業規則で決まっている諸々のルールや社会一般的なルール、これを「教える」ことがティーチングです。ティーチングでは、相手が知らなかった知識や技術を獲得することが目的となるため、相手が自分で考えても分からない場面(要は知っているか、知らないか、の場面)で働きかけることが望ましいです。

あと大事なことは、ティーチングの場面では「教えて終わり」ではなく、自分で調べる方法や自分で学ぶ方法まで教えることです。つまり、ティーチングの再発防止に向けた仕組みをつくることです。経費精算のルールを教えることになった場合に、ルールを「教えて終わり」ではなく「ここに会社のルール全般が整理されているから、もし分からないことあったら確認してみるといいよ」とか「入社オリエンに経費精算の説明パートに入れておこう」とか。こうやってティーチングの場面を組織的に減らしていきます。

フィードバック:意見(正解ではない)を伝える

次にフィードバック、これは「伝える」こと。正解となるルールややり方に照らして教えるのではなく、自分が素直に感じたことを相手に「伝える」ことを意味します。「どういう状況で、どんな行動・振る舞いの結果として、自分は何を感じたのか?」を相手に「伝える」こと、ときに相手にとって耳の痛い内容になることもあります。このフィードバックの目的は「自分がどう見られているか?」を知ることであり、相手が気づいていなかったり、認識の違いがありそうな場面で使います。1on1での「働きかけ」として紹介していますが、原則はリアルタイムフィードバック。つまり、その場でフィードバックすべき事象が起きればすぐにフィードバックすることが大切です。

自分の経験としては、フィードバックがうまいな~と思う人は、厳しいことでもズバッと言ってくれる(自分は結構へこむけど)、そして変なフォローや無駄な褒めをしない(さらにへこむ)。この状態を経ることで、改善することだったり、自分が変わることにコミットできる気がします。一方で、厳しいこと言われているのに「でも~の件は本当に助かっているから」とフォローされたり、「~は良かったよ」と褒められると、改善してほしいのか、褒められているのか、が分からなくなったり、フォローがフォローになってなかったりで気を遣われている自分が惨めに感じたりで、何もいいことないよな~と感じたりしていました。

コーチング:意見(正解ではない)を引き出す

最後にコーチング。これは「(質問や傾聴を通じて)引き出す」ことです。自分の考えや思いに自分自身で気付くことを他者がサポートしてあげることです。「教える」でも「伝える」でもなく「自分自身で気付く」という点がポイント、よってコーチングする場面は、相手が自分で考えれば分かる場面、または気付く場面ということになります。そして、コーチングでは沈黙の時間が非常に大事、自分自身で考えて気付く間の沈黙はまさに成長している時間です。この沈黙の時間に耐えられず、話しかけたり、安易にフォローすることはご法度。もし考えても何もアウトプットされない場合は、本人の問題ではなく、 相手のレベルを見極めることができていないという意味で質問した方の問題と考えます(コーチングでなく、ティーチングすべきだったかも)。

またコーチングがうまくいっていることを証拠付ける発言として「今、自分で話していて気付いたんですけど~」があります。まさに「気付く」瞬間を自分で説明している場面であり、こういった発言が自分の1on1で出ているかどうか、振り返るために使ってみてもいいかもしれません。

3つの「働きかけ」を使い分ける

1on1で大事なことは、この3つの働きかけを効果的に使い分けること、そして自分と相手がお互いに今話していることが3つのうちのどの「働きかけ」を意図しているかを共有できていることです。例えば、ティーチングすべき場面で、お互いに「これはティーチングだよね」という共通認識を持てている、これが理想です。この共通認識の有無で、働きかけに対する相手の腹落ち度が変わってきます。

おわりに

共通認識をつくる簡単な方法として、1on1をやり始めた頃は共通認識をつくる枕詞を置いてコミュニケーションすることも有効です。「これはティーチングだから覚えておいて下さい、これは~」とか「今から話す内容はフィードバックだからね。「伝える」ってことだからね。まずは受け止めて下さい、この前の~」とか「コーチングしてみます。自分で考えてみて下さい、~はどうだった?」とか。少し面倒ではありますが、1on1導入期の限定施策ということで、慣れてきたら枕詞をなくしていくことで問題ありません。