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人事に関する情報公開

人事について「どんな情報」を「誰に」公開するか、は各社で違った対応になっています。今回は人事制度における等級(グレード)について考えてみます。

クライアントとの議論の中で、個々人の評価結果や給与水準はたいてい全社員には非公開となりますが、等級については意見が割れるケースがあります。「絶対に社員に公開できない」という意見から「公開したことがないので分からない。だから何となく公開に踏み切れない」「うちの会社では公開することのメリットよりもデメリットが目立ちそうなので公開しない方はいいかも」といった理由です。

なお今回は「各自の等級を公開する・公開しない」が論点であり、等級基準は仕事や役割でなく能力で、組織上の役割(マネージャーとか)は全社に公開・共有されていることを前提とします。

社員の等級(グレード)を公開することのメリット

  1. 各等級の人材レベルを等級要件といったテキストだけでなく、実在者でイメージできる(どうすれば自分が上位等級に昇格できるかが分かりやすくなる。もちろん妥当な等級決定がなされているという前提で)
  2. 等級制度を運用する経営陣やマネージャー、人事が、入社時の等級決定や昇格人事をより慎重に且つ真剣に取り扱うようになる
  3. 上位等級者への高い期待値が組織内で見える化され、本人たちに適度な緊張感を提供できる
  4. 人事に関する情報も一部は公開していくという会社のスタンスを社員に示せる
  5. 社員にとって納得感のある等級決定や昇格人事/降格人事が行わている場合、人事に対する信頼が上がる

社員の等級(グレード)を公開することのデメリット

  1. 社員から他人の等級に対する不満や文句が出る可能性があり、社員が事業に集中しにくい環境になってしまう
  2. 降格人事を実施した際に、社員にその情報が伝わる。降格した本人は情報公開を嫌がるケースも。
  3. 下位等級者が「自分は評価されていない」と感じてしまい、モチベーションが下がる可能性がある
  4. 社員にとって納得感のない等級決定や昇格人事/降格人事が行われている場合、人事に対する信頼が下がる

スタートアップは社員の等級を公開した方がいいかも(個人的見解)

金田としては特にメリット1とメリット2を重視して、スタートアップでは社員の等級を公開した方がいいかも、と思っています。

未経験人材でなく、経験豊富な人材を採用して組織をつくっていくスタートアップでは、様々な強みを持った人材で構成されます。そうした人材の等級を決定することは簡単なことではありません、ある意味不可能に近いのかも。一緒に働いたことがない人を、「当社の等級基準では~等級」とか決めるわけですから(一定のハイクラスは入社前に一緒に働く時間を取って、実際の働きぶりを見て採用と等級を決定する場合もあります)。でも、給与にも紐づく等級決定の精度を高めていくことは大事だと思っています。そこの精度が上がってこないと、そもそも自社にFitした優秀な人材を見極めて、適切な処遇で採用することができないということを意味していますから。それぐらい慎重に・真剣に扱ってもらいたいとの思いがあります。ここに問題があるとデメリット1の通り、人事に対する不平不満が膨らみ、人や組織に気を取られて事業に集中できない状態になってしまいます。これは最も避けるべき状態です。

デメリットももちろんあります。ただし、等級を公開することで上記のようなデメリットが起きる組織はそもそも課題があると考えます。例えば、採用する側の人材の見極めの精度が低い、等級基準や人材の見極め基準が会社と社員で共有できていない、社員が等級基準や人材の見極め基準を正しく理解できていない、とか。改善すべき点はこちらだと思っています。

おわりに

等級決定や昇格人事は難しいです。だから慎重且つ真剣に取り組むことが大事です。どういう基準で、どんなプロセスを経て、昇格を判断していくのか。また降格をどうするか、などなど。別の機会で、昇格や降格の制度設計についても考えてみたいと思います。